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その新規事業、死んでいませんか?──ゾンビ化を防ぐ「出口戦略」の処方箋

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ゾンビプロジェクトへ5つの処方箋

 私たちインディージャパンでは、このようなプロジェクトを見つけると、いくつかの「処方」を行う。

■フェーズ診断

 まず新規事業としての進捗度を確認し、仮説検証がどの段階にあるか、そのフェーズを確認する。売上が立たない状態であっても、顧客の需要や技術的な成熟度を可視化することで到達フェーズを見極めることもできる。

■チーム評価

 プロジェクトチーム自体に起因する停滞が発生していることがある。事業開発活動の量や質について確認し、新規事業立ち上げに適したチームかどうかを評価する。

■潜在事業性

 取り組むに値する規模や性質を備えた事業なのかを客観的に評価する。成功して得られるリターンの大小に応じた、チャレンジかどうかをチェックする。

■事業開発戦略の立案

 事業立ち上げ戦略、事業拡大戦略など仮想的な戦略を描き、成功までの残りの道筋、必要な投資額などを算定する。

■出口戦略の立案

 新規事業は成功したとしても終焉を迎える。自立した事業としての理想的な姿を設定する。事業によっては、事業部への吸収が適しているものもあるが、別会社にした方が良いものもある。

ゾンビプロジェクトへの処方箋

成長しない新規事業、撤退の見極め方

 上記の観点で、新規事業を見極めることで「撤退度」が診断できる。

 私たちの経験では、多くの有望な事業が「出口戦略」不在のために行き詰まっている。新規事業をスピンアウトやスピンオフすることで事業成長が見込めることが多々ある。

 「出口戦略」不在の次に多いのは、PSF未達である。テーマとして有望にも関わらず、事業の姿が一切見えてこない、そんな状況にあるプロジェクトの多くは、PSFに到達していないことが多い。そのような状態では、ターゲットが定まらず製品開発に着手できない。「P:プロブレム(顧客課題)」が曖昧であったり、売りたい「S:ソリューション(製品やサービスなどの解決策)」とミスマッチを起こしていたりすると、社内での議論が堂々巡りとなり結論が出ない。検討と調査に多くの労力をかけ過ぎているアイデアを数多く見てきた。

 私たちは、PSF未達のアイデアについては、顧客ジョブを整理し、顧客への価値提供ができるようなソリューションへとピボットすることを提案する。ソリューションが顧客にマッチしていないだけなら、ソリューション案を修正すれば良い。だが、ソリューションが企業にマッチしていないことがある。たとえば、どうしても消耗品ビジネスがしたい、といったソリューションありきの取り組みである。そのような傾向が見られた場合には、撤退するより他に選択肢はない。プロジェクトを解散させ、リソースを解放することでより有意義な取り組みに投資すべきだと進言している。

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この記事の著者

津田 真吾(ツダ シンゴ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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