ビジネスモデル・オントロジーで全体像を表現する
そして、そして様々なコンサルタントやアカデミックな分野での研究者がビジネスモデルを表現するためのフレームワークを提起していますが、包括性と理解の容易性という点では、「Business Model Ontology」(第1回目の記事をご参照下さい)が最も優れていると筆者は考えています。これをさらにシンプルにし、世界各国で実践を積み重ねてきたものが、昨年和書も出版された『ビジネスモデル・ジェネレーション』というわけです(図2)。
したがって、「ビジネスモデルキャンバス」と、このあと説明する「ビジネスモデルの構造」は、基本的に互換性があると考えていただいて良いと思います。つまり、キャンバスに書かれたビジネス要素を、第2回目の記事でご紹介した「概念モデル」を活用して属性を定義したり、要素間の関連性を確認したりすることができます。また場合によっては、ツールを使ってシミュレーションをしたりすることもできます。図3は、ビジネスモデルの鳥瞰図です。
図から見てわかるとおり、9つのビジネス要素(ビルディングブロック)は、各々サブ要素を持っています。たとえば、価値提案について考えてみましょう。図4では、「iPhone」が持つ価値提案は、「機種本体」、「通話サービス」、「各種アプリ」というオファー(プロダクトやサービスまたはその組合せ)から構成されていることが表わされています。全ての価値提案が複数のオファーから構成されているわけではありませんが、近年はこのような複合的なプロダクトが増えてきていることも事実です。実際、サービスや情報および知識産業の拡大、フリーミアムのような新しいビジネスの台頭によって「価値提案」の中身は複雑になってきている傾向にあります。
では、次にビジネスモデルを構成する4つの柱について簡単にご説明していきましょう。