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ギックス網野氏、Domo水嶋氏、Wantedly萩原氏が語る「CxOにとっての意志決定」

「CxO Forum データ起点のビジネス成長戦略~『的確で迅速な意志決定』が経営と現場をつなぐ」セミナーレポート

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2015年11月4日、経営層(CxO)、経営/営業企画部門、事業部門や業務部門におけるリーダーを対象にしたセミナーが翔泳社Biz/Zineの主催により開催された。 ビジネスの意志決定を、的確なデータに基づき迅速な判断でおこなうことは成功のための必須条件だといえる。現在はテクノロジー等の進化により、複数のデータを、ひとつのビューで見ることができ、経営層、部門リーダー、現場社員がそれぞれ必要なデータを必要なタイミングで見ながら、判断し改善や問題解決につなげていくという、データを起点にした新しい企業文化が実現可能な時代。 データ活用によるビジネス成長のための最新の知見・ノウハウと実践事例が紹介された講演をレポートする。

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ギックス網野氏が語る「会社を強くする意志決定」

株式会社ギックスCEO 網野知博氏

網野知博氏がCEOを勤めるギックスは、コンサルティングとアナリティクスなどのサービスを、ビッグデータなどの分析を組み合わせて提供している。ギックスは独自の分析エンジンで、クライアントからPOSデータ、顧客マスタ、商品マスタなどのデータを預かり、分析エンジンに入れ、分析チームがレポートを出す。預かるデータ量は、数十億行の大量データにも対応している。

ここで網野氏が紹介したのはJR東日本のクレジットカードカード子会社、ビューカードの事例で、現在420万人の会員を2020年までに600万人まで増やすためのマーケティングの支援だ。そのため、関連データを預かり、分析を行っている。網野氏がそこでの経験から本フォーラムでの示唆となるポイントとしたのが以下の二つになる。

  • CxOがするようなビッグディシジョンには、「すごい分析」が必要なのか。
  • CxOの意志決定に繋げていくための分析にはどういう課題、障害があるのか。

最初の「すごい分析の必要性」では、網野氏は「すごい分析」と「すごいディシジョン」に相関性がないと見ていると網野氏は語る。誰もが知っているようなクロス手法などだけでもビジネス的な成果が出すことが可能だという。 ビューカードの事例でいえば、数多くのタイプがある中で、オンラインを通じて入会した顧客や、Suica一体型でオートチャージを設定している顧客が優良顧客であるという仮説が立証され、そこからマーケティングの戦略が立案された。

分析から戦略につなげていくには、自社の強みを知ること。UVP(Understandable Value Proposition)という言い方をしますが、訴求価値がお客様、消費者にとってUnderstandableものか、要は腹落ちするようなものなのか、企業視点でこれが売りですというよりは、消費者にとって伝わってくるような意味のある価値とは何かを洗い出していくのです。(網野氏)

また、2番目のCxOが意志決定をしていく上での障害の例として、分析担当者が従来のBIなどの手法では時間がかかりすぎるため、結果を可視化しても、経営者は定性的な判断の方を重要視する、という例が語られた。またCxOの意志決定には2通りあって、大枠の仮説に基づく検証もあるが、適切なタイミングで少しずつデータをみながらPDCAを回し、軌道修正をかけていくタイプの戦略上、非常に重要であることを示した。

最後に網野氏は、今後はCAO(Chief Analytics Officer)という分析の立場から経営意志決定をサポートしていく立場も重要になっていくだろうと述べた。

ビジネス管理プラットフォーム「Domo」とは

ドーモ株式会社 代表取締役 水嶋 ディノ 氏

続いて、ドーモ株式会社代表取締役の水嶋ディノ氏が講演をおこなった。同社は企業のCxOを含むビジネスユーザーが日々の業務の中でデータを活用し、コラボレーションをおこないながら意志決定をおこなうための製品「Domo」を提供している。いわゆる経営者のためのダッシュボードやBIツールにも近いが、Domoはより広義の「ビジネス管理プラットフォーム」という位置づけで、データに基づく意志決定ツールとして提供されている。水嶋氏はまず、経営判断や意志決定のための問題の把握のプロセスを解説した。

例えば四半期の営業の状況を見ていき、進捗の状況や達成の見込みを知るとします。成約までの商談に60日かかっている人と30日かかっている人がいることがわかった場合、60日の人を30日に近づけていく。そのために、商談状況、販売状況や達成見込みなどのデータを営業マンごとに見ていき、解決策を提示しアクションを行ってくことで達成できます。データからどんどん問いかけをおこない、それに対する解答を得ていくことです。(水嶋氏)

ビジネスがいまどういう状況か、外部環境によって何が起きているか、というデータを集めて、そこから何らかの意味を見いだすことによって、答えを得ることができる。ただし、そうしたデータは定量的でファクトベースのものだけではない。社員の頭の中にある知見や経験なども、重要な判断基準だ。重要なのは、こうした様々なファクターを「ひとつのプラットフォーム」で把握することだと水嶋氏は語る。

具体的な例として、フィットネスクラブを運営する企業のストーリーを通じてDomoのデモを紹介した。経営者のスマートフォンにアラートメッセージが届き、このフィットネスクラブの会員数が予め設定しておいた閾値を下回ったことがわかる。クリックするとDomo上にグラフが表示され、そこから「DomoBuzz」というコラボレーション機能(ソーシャル型のメッセージング)を用いて、Domoで共有された様々なグラフをみながら、原因を突き止めていくというシナリオだ。メッセージ、グラフ化、ドリルダウン、異なるデータの比較という一連の作業がスムーズにつながることで、データに基づく原因の究明や問題解決への気づきがおこなわれる。ExcelやBIなどによる帳票化などの分断化したプロセスではなく、データによる考察、共有、意志決定という流れが、問題解決に結びつく様子が示された。

なぜBIはうまくいかなかったのか?

次に水嶋氏は、アメリカの経営者やビジネスリーダーの「データに対する不満」に関する調査結果を紹介した。それによると、ビジネスユーザーが自分でアクセスできないこと、データソースの分散、カスタマイズできないなどの様々な課題がある。ビジネスリーダーが受け取るデータの種類は、紙の文書、メール、表計算が多い。こうしたデータをビジネスリーダーは理想的にはダッシュボードのように、データを1か所でまとめて見ることを欲している。しかし、それはこれまでも、多くのBI(Business Intelligence)ツールが提供してきた機能だ。なぜそれらはうまくいかなかったのか?水嶋氏はこう語る。

そもそも企業のデータ環境が変化していることが大きいと考えています。データが増えるスピードは年々加速して、利用するシステムの種類が増え、クラウドへの移行が進んでいて、昔の基幹システムだけの時代のデータの環境とは変わっているのです。今はもう本当にデータの爆発が起きている。その結果、企業が直面している課題に、事業状況がタイムリーに正確に把握することができない、あるいは事実に基づいた的確な意志決定を迅速に行えなくなっています。

先の網野氏の講演でも語られたようにBIやDWH(データウェアハウス)を導入しても、そこにデータを集めてくること、システムを設計、構築などに膨大な時間と労力を費やしてしまうため、ビジネスの迅速な判断には役立たなくなってしまっている。これらのツールはもはや「魔法の箱」ではないのだと水嶋氏は言う。

もっと良いやり方があるはずなのです。ビジネスで最も重要な問いへの解答を集約する、より良い意志決定を素早く実施する、レポーティング業務の自動化をする、最新情報へいつでもどこでもアクセスできるようにする、これら全てを実現していくというのがDomoの提案です。

こう語り、ヤフー、DeNA、BookLive、オイシックス、Kaizen Platformの導入事例を紹介した。こうした新興の企業は、データがビジネスと直結している。データによってトップが意志決定を行うだけでなく、現場がデータの変化を常に意識しながら自主的にアクションへとつなげていくカルチャーがより求められていると言えるだろう。こうしたカルチャーは、今後さらに多くの事業会社にも浸透していくはずだ。そこにDomoの可能性があり、データ活用が進展していくことになると水嶋氏は語った。

Wantedlyの「ココロオドル働き方のためのデータ活用」

ウォンテッドリー株式会社 COO 萩原 学 氏

最後に、人材系のスタートアップとして注目されているWantedly(ウォンテッドリー)のCOOの萩原学氏が「シゴトでココロオドル働き方を実現するデータ活用術」という講演をおこなった。Wantedlyとは、企業と人をマッチングさせ採用につなげるプラットフォームであり、米国のLinkedInに近いサービスだ。

「仕事で心躍る」人を増やそうっていうのが理念です。自分たちの働き方もそれを実現できないかっていうことがあって、私たちの会社のアクションはすべて、「仕事で心躍るかどうか」を重要視して物事を決定しているのです。

そのためには「心躍らない状況をなくすこと」であり、「仕事でやりたいことを阻むもの」を取り除いていくことだと萩原氏は言う。そしてそれは「誰に聞いていいかわからない」「判断のための情報が得られない」という状況をなくしていくことだ。そのためには、判断―意志決定にいたるプロセスが重要だと語る。

何かアイデアを思い浮かべるときって、問題発見と情報収集、仮説立案の間をぐるぐる回していきます。ここのサイクルが滞ってしまうと最終的な意志決定や最後の検証にすごく時間がかかってしまう。このサイクルを早めること、意志決定のスピードを高めることを優先しています。

企業の成長を「“0”から“1”」と「“1”から“100”」のフェーズに分けるとしたら、Wantedlyのようなスタートアップは、「“0”から“1”」へのフェーズにあると萩原氏は言う。そしてこのフェーズでは「仮説の深度」よりも「仮説検証のスピード」こそが、成長の鍵となる。Domoを導入しことにより、データ分析が特定の人に集中することがなくなり、それまで分散していた仮説検証のための情報が集約された。コミュニケーションコスト、情報探索コスト、情報の管理コストが劇的に下がったという。また、「優れたUIやデザインでユーザーのモチベーションがあがったこと」や「データソースへのつなぎ込みが簡単」「生データまでたどれること」などの利点を上げた。

ツールや分析手法は、ビジネスリーダーの意志決定の道具にすぎない。しかし適切なツールと手法を用いることによって、適切なタイミングで、的確な判断ができることを、この日のセミナーでは3人の講演者が示した。

イベント概要

  • 開催日程:2015年11月4日(水) 
  • 主  催:翔泳社 Biz/Zine
  • 協  賛:ドーモ株式会社
  • 参 加 料:無料 (事前登録制)
  • 会  場:青山アイビーホール(〒150-0002 東京都渋谷区渋谷4丁目4番25号)

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この記事の著者

BizZine編集部(ビズジンヘンシュウブ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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