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成功するビジネスモデルに共通する価値提案の作り方

第5回

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優れた価値提案に共通する「コンセプト」と「経験価値」

価値提案とオファーの属性 図4.価値提案とオファーの属性 さて、次に「価値提案とオファーの属性サンプル」をみていくことにしましょう(図4)。なお、オファーは価値提案の一部(もしくは全部)を構成するため、オファーの属性は価値提案に継承されることになります。

1.価値コンセプト

価値コンセプト 図5.価値コンセプト 価値提案の属性として、「価値コンセプト」を取り上げます。全ての事業体が、自社の価値提案に価値コンセプトを命名しているわけではないので、価値コンセプトはオプション的な属性として考えていただければと思います。しかしながら、十分に練られた価値コンセプトは、価値提案全体をターゲット顧客に伝え、顧客の共感を呼ぶとともに記憶に残る「バンパーステッカー」のような役割を果たします(図5)。

2.価値論拠

図6.価値論拠図6.価値論拠

 オファーは、「価値論拠」、「価値レベル」、「価格レベル」、「価値ライフサイクル」という4つの属性を持っています。まずは、「価値論拠」についてご説明することにしましょう。

 価値論拠とは、事業体がターゲット顧客に提供する(あるいは提供したいと考える)価値の根拠です。これは、機能価値、金銭価値という2つの客観的価値と、経験価値、利便価値(労力と時間)、信頼価値、リスク価値という4つの主観的(情緒)価値に分類することができます(図6)。

 これらの価値論拠の分類は、グリーティングカードで有名な会社であるホールマーク社が考案した、「バリュースターモデル」をベースに、少し修正を加えたものを採用することにしました。ホールマーク社の言葉を借りるなら、優れた価値提案とは、

  1. 6つのどの価値においても大きな弱点をもっていない
  2. 6つの価値のうち、最低でも2つの価値に優れている
  3. 優れた価値のうち、1つ以上は主観的価値でなくてはならない

ということになります。ホールマーク社は、「機能価値」と「信頼価値」に焦点を当てているとのことです。

 近年、顧客ニーズの多様化、プロダクトライフサイクルの短命化、模倣の容易性、サービスおよび情報ビジネスの拡大などの要因により、提案価値の源泉が客観的価値から主観的価値にシフトしてきています。特に、「経験価値(顧客エクスペリエンス)」に現在大きなスポットライトが当てられているのは、皆さんもご存知だと思います。これらの主観的価値を高めるためには、「チャネル」や「顧客リレーションシップ」という要素の力を借りる必要があります。この点については、ビジネスモデルの2つ目の柱である「顧客インターフェース」の中で触れていくことにしましょう。

次のページ
価値提案を際立たせる「競合との差別化」と「顧客価値」

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この記事の著者

白井 和康(シライ カズヤス)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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