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成功するビジネスモデルに共通する価値提案の作り方

第5回

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価値提案を際立たせる「競合との差別化」と「顧客価値」

アトリビュート分析

アトリビュート分析図7.アトリビュート分析

 さて、価値提案はターゲット顧客に提供している価値を表わすと同時に、競合他社とその差異を明確にしなければなりません。自社の価値提案を顧客の立場から評価し、競合他社のそれと比較してどのような位置付けにあるのかを分析するツールとして「アトリビュート分析」があります(図7)。

 このマトリクスの縦軸は、競合他社のオファーと比べて自社のオファーがどれだけ差別化されているかを分類したものです。一方の横軸は、その特性に対して反応すると思われるターゲット顧客の反応を分類したものです。

 もっとも、この分析は客観的な評価が必要であるため、顧客を含めた第三者の眼が必要ですね。ターゲット顧客を明確にすることも重要です。たとえば、家電プロダクトを考えた場合、豊富な機能は若いテクノロジー信仰者にとっては「興奮する」かもしれませんが、シニア層や私のようなものぐさな人間にとっては「何だ、これは」ということがあるからです。

 各マトリクス内のセルに埋められた結果は、ブルーオーシャン戦略で使われている「加える」、「増やす」、「減らす」、「無くす」という4つのアクションパターンで整理していくのが良いと思います。

顧客価値

顧客価値の構造図8.顧客価値の構造

 今回のまとめをしていきましょう。一般的に「顧客価値」とは2つの意味合いを持ちます。1つ目は、価値提案に対する顧客の価値、2つ目は、事業体にとっての顧客の価値です。今回は前者について整理してみます(後者は、顧客リレーションシップでお話しします)。

 価値論拠の総和は、「プロダクトベネフィット(つまり総顧客価値)」と捉えることができます。プロダクト価格と、顧客プロダクトに接する全てのステージ(すなわち価値ライフサイクル)において、顧客が負担するコストを足したものが「プロダクトライフサイクルコスト」です。このコストには、金銭コスト、時間コスト、労力コスト、心理コストが含まれます。したがって、プロダクトベネフィット(つまり総顧客価値)からプロダクトライフサイクルコストを差し引いたものが、「純顧客価値(正味の顧客価値)」となります(図8)。

 もちろん、ターゲット顧客の特性やニーズによって、これらの要素の全体に占める割合は異なります。全ての要素が測定できるわけではありませんが、顧客へのアンケートなどの結果を手掛かりに、他の要素の相対的重み付けをすることによって、各要素を定量化することもできそうですね。

 いずれにしても、純顧客価値を増やすためには、

  1. 信頼価値、経験価値、機能価値により顧客価値を増加させる
  2. 利便価値、リスク価値により顧客コストを低減させる
  3. 金銭価値を増加させる(つまりプロダクト価格を下げる)

という3つの選択肢があることが分かりますね。最初の2つが大事なのは言うまでもありません。

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この記事の著者

白井 和康(シライ カズヤス)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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