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経営企画サバイバルガイド

正体は経営陣の“外部脳” 初任者が知っておきたい経営企画の真の役割

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なぜ御用聞きに見えるのか?

 経営陣が意思決定に集中するために生まれる部署が経営企画部門だとすれば、経営企画部門のミッションは「経営陣が最適な意思決定に集中できる環境を整えること」になります。予実の数字を集めて資料化する仕事も、経営陣に判断材料を提示して彼らが意思決定をしやすくするためなのです。

 このミッションを実現するためには、経営陣が決定した事項を代わりに推進する役割も求められます。予実管理や経営計画の策定で終わるのではなく、それを実現するために自ら動くことも、経営企画部門の正しいあり方だと言えるでしょう。

 企業全体で推進すべきテーマは絶えず生まれます。近年ではDX推進やESG投資、AI活用などがその代表例です。こうした新たなプロジェクトは、社内に明確な担い手がいない場合、ひとまず経営企画部門に委ねられることが多いため、担当者の業務はますます多角化していきます。経営企画部門に「御用聞き」のイメージが強い背景には、このような事情があると私は考えています。

 経営陣の脳として、意思決定に集中できるような環境を築く。そのミッションを経営企画部門の担当者自身が自覚できれば、雑多に見える業務の一つひとつにも意味を見出せるようになるはずです。

成果を出すためのアクションは4つ

 ミッションを実現するために、経営企画部門の担当者は業務をどのように進めるべきでしょうか? 具体例とともに考えましょう。

 A社の経営陣は、組織の大幅な拡大を目指していました。そこで経営企画部門の担当者は現状の業績を分析し、組織拡大のためにはキャッシュの創出がまず必要であることを明示。経営陣にコスト削減の意思決定を促し、その承認を得ました。

 次に担当者が行ったのは、施策の立案です。実行するのは事業部など現場の部署ですが、単にコスト削減を要求するだけでは不十分。どのように、どの程度削減すべきか理解してもらえなければ一向に進みません。そこでまずは目標を設定し、それを達成するための方法を設計して各部署に発信しました。それでもなお実行してもらえるとは限らないため、定期的に進捗のモニタリングを行い、目標を達成するまで現場をサポートし続けました。

 このように「情報の整理」「示唆の提示」「決定事項の遂行」「遂行状況のフィードバック」という4つのアクションを経営企画部門の担当者が順に行うことで、経営陣は意思決定に集中できるのです。

 ちなみに経営企画部門は、何かを「する」意思決定だけでなく「しない」意思決定を促すこともあります。B社の経営陣は、工場でのコスト削減が思うように進まないため、工場側に圧力をかけています。対する工場側は「限界までコスト削減に励んでいる」と主張して譲らず、事態が膠着していました。

 そこで経営企画部門の担当者は、現状のコストに加え工場側の努力による削減分と、材料価格の高騰などによる増加分を可視化。コスト削減の余地がないことを経営陣に明示し、さらなる削減要求は「しない」という意思決定を引き出しました。

 一見進展がないようでも、経営企画部門が介在しなければ不毛な議論が続き、経営陣が最適な意思決定に集中する状態は実現できていなかったでしょう。経営陣が意思決定すべき内容を見極め、その方向に経営陣を導くのも、経営企画部門の重要な役割なのです。

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この記事の著者

冨田 貴大(トミダ タカヒロ)

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