ウェディング市場は2兆円規模
──はじめに、簡単なご経歴と現在のお役割をお話しください。
2013年にウエディングパークの新卒二期生として入社後、結婚式場口コミ情報サイト「Wedding Park」の営業チームに配属され、西日本エリアの責任者を務めました。

社の新規事業としてアドテクノロジー専門部署(現デジタルマーケティング本部)が立ち上がった際に、営業責任者の立場で異動しました。コロナ禍真っただ中の2020年、広告領域のみならず他の領域でも結婚式場に価値を提供したいと考えたことが、DX推進室の室長を兼任したきっかけです。2024年にDX推進室を内包したバリューデベロップメント本部が立ち上がり、現在は本部長として、広告以外の新規事業を担当しています。
──次に、御社で展開している事業を教えてください。
Wedding Parkのほか、フォトウェディングのための撮影スタジオが探せる「Photorait(フォトレイト)」など、結婚に特化した専門メディアの運営を行っています。加えて、ブライダル業界向けのデジタルマーケティング支援事業と、私が担当している高付加価値事業の三つが、当社の事業ラインアップです。
──ウェディング市場の動向について解説いただけますか?
一般的にシュリンクしていると思われがちで、あながち間違ってもいません。特に景気が落ち込んだのはコロナ禍です。結婚式が“不要不急の外出”と扱われ、延期や中止を余儀なくされた方が多くいらっしゃいました。
コロナ禍が明けてからは、景気が回復傾向にあります。ウェディング市場は2兆円規模と言われているのですが、矢野経済研究所の調査によると、現在は1.8兆円まで回復しているそうです。コロナ禍以前の水準に戻ってきていると言えます。
コロナ禍に相次いだ中堅プランナーの退職
──最近は結婚式や披露宴を行わない「ナシ婚」も増えていると聞きますが、挙式を選択するカップルの数は実際に減っているのでしょうか?
私の体感ではそれほど変わっていません。コロナ禍には当然減りましたが、その分フォトウェディングの需要がぐっと高まりました。現在はフォトウェディングの件数が落ち着いた分、挙式に回帰している印象です。
式のスタイルは多様化しています。以前は60~80名規模の結婚式が一般的でしたが、最近は「フォトウェディングのみ」「フォトウェディング+会食」「職場の関係者を招待する回と、親しい友人を招待する回の二部制」など、バリエーションは様々です。
──ウェディング業界全体で見られるビジネス課題を教えてください。
人手不足や少子高齢化など、日本社会全体で課題視されている現象がウェディング業界にも見られます。特に人手不足は解決の優先度が非常に高い課題です。なぜなら、コロナ禍に中堅層の退職が相次いだからです。女性の働き手が多い業界でもあるため、30代を迎える従事者がライフステージの変化にともない退職するケースも少なくありません。働き手が減ることはもちろん、接客ノウハウが継承されない点を私は危惧しています。