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中計から紐解く「決算分析」入門

中期経営計画という「設計図」で企業分析力を養う──決算書で過去を捉え、中計で未来をみる方法

第1回

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競合他社との中期経営計画の比較でわかること

 以上が「時系列」での比較です。もう一つは「競合他社」との比較です。この比較では、競合となっている会社がどういった指標を中期経営計画の目標として置いているかを確認します。そうすることで、企業が重視している指標がより鮮明にわかるようになります。

 図表4は森永製菓と明治ホールディングスの中期経営計画の目標としている財務数値を比較した表です。

画像を説明するテキストなくても可
図表4:出典・「森永製菓2024中期経営計画」および「明治ホールディングス2026中期経営計画」より筆者が作成/クリックすると拡大します

 同じ菓子類を提供している会社でも目標としている財務活動や非財務活動が違うことがここからわかります。たとえば森永製菓は売上高や営業利益率を目標に入れていますが、明治ホールディングスではこれら指標が目標に入っていません。

 また、非財務情報についても明示は明治ROESGといったROEとESGの指標を組み合わせた独自の指標を用いています。

 このように企業の中期経営計画の目標とする財務活動を比較することで、企業が重視していることがより鮮明にわかるようになります。

 なお、中期経営計画の開示は何か法的に義務となっているものではありません。そのため、開示していない企業も多くあります。たとえば、森永製菓の競合のブルボンは中期経営計画を開示していません。

 ただし、開示していないだけで作成はしているようです。実際、ブルボンのコーポレートガバナンス報告書には以下の記載があります。

【原則5−2 経営戦略・経営計画の策定、公表】
当社は、2026年3月期を第1期とした中期経営計画を策定しております。業績予想につきましては年度ごとに公表しておりますが、中期経営計画の開示については、今後の検討課題としております。

 このように中期経営計画を開示しない場合は、コーポレートガバナンス報告書に開示しない旨を記載していることが多いです。開示が見当たらない場合は、コーポレートガバナンス報告書も確認してみましょう。

中期経営計画から企業分析の目を養う

 企業にとって中期経営計画を開示することで、将来の方向性や目標を数値として示すことできます。そうすることで、株価形成や投資家や従業員を含むステークホルダーの期待値を適切にコントロールすることができます。これが中期経営計画を公表する大きな理由の1つです。

 一方で、中期経営計画の開示は義務ではなく、あえて公表しない企業も存在します。環境変化に柔軟に対応するため、経営の自由度を重視するという判断も、経営スタイルとして十分に合理的です。そのため、すべての企業について中期経営計画を材料に分析できるわけではありません。

 しかし、中期経営計画が開示されている場合には、そこに掲げられた数値目標を通じて、企業が何を重視し、どのような考え方で価値を生み出そうとしているのかを具体的に読み取ることができます。近年、その中心的な指標として多くの企業が重視しているのが、ROIC(投下資本利益率)です。実際、今回取り上げた森永製菓も明治ホールディングスも共に目標とする財務指標としてROICを掲げています。

 次回は、このROICとはどのような指標なのか、なぜ中期経営計画の中核に据えられるようになっているのかを解説していきます。

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この記事の著者

村上 茂久(ムラカミ シゲヒサ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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