企業分析のために中期経営計画で押さえるべき、財務と非財務指標
本稿では、実例として菓子食品などの製造や卸販売を行なっている森永製菓の中期経営計画に書かれている目標数値について確認していきましょう。図表1は、2024年5月に公表された森永製菓グループ「2024中期経営計画」に記載されている経営目標です。
この森永製菓の経営目標を見る際に、押さえておきたい視点が2つあります。それは、財務的な経営目標と非財務的な経営目標の2つです。
財務的な経営目標とは、その名のとおり売上高や利益、最近ではROEといった効率性や利益率に関する指標のことです。森永製菓の場合、売上高を営業利益の目標に加えて、重要経営指標として、売上高営業利益率、充填領域売上高比率、海外売上高比率、ROE、ROIC、DOEといった経営指標が掲げられています。
他方、非財務的な経営目標とは、従来の決算書に記載されているような売上や利益、もしくはこれら情報から計算される指標と異なる経営目標のことを言います。具体的には、社会、環境、人的資本などに関する数値目標のことを言います。たとえば森永製菓の場合、「働きがいを感じ、心身ともに健康的に働けている従業員の割合」を80%にすることや「CO2排出量」を30%削減することなどが非財務目標として掲げられています。
中期経営計画を比較する2つの軸「時系列」と「競合他社」
中期経営計画の目標数値を確認できたら次にすべきことがあります。それは「比較」です。ここでいう比較とは、「時系列」での比較と「競合他社」の比較の2つの意味があります。それぞれ見ていきましょう。
まずは「時系列」での比較です。中期経営計画を発表している会社は多くの場合、その後の進捗も公表をしています。森永製菓の場合、四半期ごとに開示される決算説明資料に中期経営計画の進捗状況が記載されています。
図表2は、2026年3月期の第2四半期の決算説明資料における中期経営計画の進捗を示したものです。
中期経営計画では単年度の業績目標は示されていませんが、2026年度(2027年3月期)の目標に対して、2025年度(2026年3月期)の進捗の見通しが書かれています。これらの数字を把握することで、中期経営計画の進捗を把握することができます。
一方で、非財務情報については多くの場合、決算説明資料には記載がありません。非財務情報については、統合報告書を見る必要があります。統合報告書とは、企業の売上や資産等の財務情報と非財務情報(環境・社会・ガバナンス、知的財産、人的資本など)を統合し、中長期的な価値創造のプロセスや持続的な成長戦略を投資家、従業員、顧客などのステークホルダーに分かりやすく伝えるための報告書のことです。
森永製菓の場合、統合報告書に年度ごとの非財務情報が開示されています(図表3)。
ただし、財務目標とは異なり、非財務目標については必ずしも中期経営計画の目標数値と対応するように記載されていないことも多いです。非財務目標については、次の中期経営計画の公表時に前回の振り返りとして進捗を確認することになります。
