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中計から紐解く「決算分析」入門

中期経営計画という「設計図」で企業分析力を養う──決算書で過去を捉え、中計で未来をみる方法

第1回

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 本連載は『決算分析の地図 財務3表だけではつかめないビジネスモデルを見る技術』(ソシム)の著者で、株式会社ファインディールズ 代表取締役の村上茂久氏が、非財務パーソンに向けて企業分析の基礎を解説します。今回は、製菓メーカーの実際の中期経営計画などの資料を参照しながら、企業分析の最初の一歩を踏み出すコツを提供します。

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「財務3表」だけでは企業分析はできない

「企業の決算書を読めるようになるにはどうすれば良いでしょうか」

 財務コンサルティングや財務に関する研修をしていることもあり、私はビジネスパーソンからよくこういった質問をいただきます。企業の決算書を読めるようになることで、競合会社の戦略を財務の観点から理解したり、転職を検討している企業の財務状況を把握できたりするようになります。また、株式などの資産運用をしている人にとって企業の決算書を読めるようになることは、どういった企業に投資をするのかといった投資スタンスにも直結します。

 企業の決算書を読めるようになるために多くの人がしていること。それは簿記や会計を勉強したり、財務三表と呼ばれる「損益計算書(P/L)」と「貸借対照表(B/S)」、そして「キャッシュ・フロー計算書(C/F)」を学んだりすることです。実際、これらの知識を身につけることは企業の分析には役立ちます。と同時に、これら決算書の情報だけでは得られないことがあるのも事実です。

 決算書はいわば「企業の過去の業績」が記載されているものです。企業の今後を知る上で、過去の情報は押さえることは確かに重要です。ですが同じぐらい、もしくはそれ以上に押さえるべき情報があります。それが「中期経営計画」です。企業が公表している中期経営計画には、今後企業が進むべき、進もうとしている方針が書かれています。これを把握することで、企業分析の解像度が一段階向上します。

 本稿では製菓メーカーを事例に、どのように中期経営計画を読み解く際に重要となるポイントを解説していきます。

森永製菓の中期経営計画に学ぶ、押さえるべき「目標となる数値」

 企業が公表する中期経営計画とは、企業が今後3年から5年程度の期間において、どのような方向に進み、どのような成果を目指すのかを示したものです。読者の勤めている会社でも中期経営計画が発表され、当該経営計画に基づき、日々業務に携わっている人もいらっしゃるのではないでしょうか。

 中期経営計画には、事業環境の認識、重点戦略、投資方針、そして数値目標などが記載されています。言い換えれば、中期経営計画は企業の未来像を描いた設計図だと言えるでしょう。

 中期経営計画を読む際、多くの人はまず戦略の文章やスローガンに目を向けがちです。確かに今後企業が進む方向が言語化されているこれらを押さえることは重要です。

 しかし、企業分析という観点から見て最も重要なのは、目標として掲げられている数値です。なぜなら、経営目標となる数値は、経営者の意思決定が凝縮されたものだからです。

 売上高をどの水準まで伸ばそうとしているのか、利益率をどこまで改善しようとしているのか、あるいはどの指標を経営の軸として採用しているのか。これらはすべて、企業が「何を重要だと考えているか」を雄弁に物語っています。

 たとえば、売上高成長を重要視する企業もあれば、利益率の改善を重視する企業もあります。さらに近年では、ROE(自己資本利益率)やROIC(投下資本利益率)といった資本効率に関する指標を中期経営計画の中心に据える企業も増えてきました。これは単に利益を増やすだけでなく、「どれだけの資本を使って、その利益を生み出しているのか」を問う姿勢が強まっていることを意味します。

次のページ
企業分析のために中期経営計画で押さえるべき、財務と非財務指標

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この記事の著者

村上 茂久(ムラカミ シゲヒサ)

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