ロジカルシンキングがぶち当たる「壁」
いつもながら、私が横浜国立大学で留学生向けに講義をしている「課題解決」授業での話から始めたい。各国からの学生たちは、自分の意見や主張を論理構築して伝える手段や考え方を学び、それぞれの思いを論理立てて発表できるようになってきた。
「待っていました!」とばかりに、私は次のハードルを提示してみた。「グループ討議」だ。
これまでは個人で結論とその根拠を組み立てればよかったのだが、今度は4~5人のグループで統一の結論を出さないといけない。日本人同士ならまだしも、全く文化も国籍も違う学生を意図的に混ぜ合わせたチームでは、メンバー同士が自分の主張をぶつけ合うため、いくら時間を使っても結論が出せない。
おとなしい学生は黙り、声の大きい学生が強引に議論をリードしようとするものの、合意には至らず時間だけが過ぎていく(私の想定通り)。
これでは、いくら個々人が(自分なりに)ロジカルな主張をしても、組織としての結論、合意形成ができず、何もモノゴトが先に進まないことになってしまう。
実は、個人でロジカルシンキングのスキルを身に付けても、組織で活用しようとするとこの限界にぶち当たることがある。最終的には組織内で合意形成を図り、人を動かすには、個人での論理構築完成だけではまだ道半ばだと言えよう。
では、組織やチームでの合意形成に、どうロジカルシンキングを活かすことができるのだろうか。