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私の新規事業史

iモードからCVC代表再登板まで。NTTドコモ・ベンチャーズ笹原氏が語る、30年の新規事業史

ゲスト:笹原優子氏

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 2025年7月、NTTドコモ・ベンチャーズ(NDV)の代表取締役に「2年ぶり2度目」の就任を果たした笹原優子氏。今回は自ら「CCO(チーフ・カルチャー・オフィサー)」として、組織変革にも挑みます。 そのキャリアは「iモード」の黎明期に始まり、社内起業制度「39works」の創設、1度目のNDV代表、そしてドコモ本体での大規模事業のグロースと多岐にわたります。 プレイヤーと制度設計者、社内での0→1と社外との共創、そして事業開発と事業拡大。あらゆる立場からイノベーションに向き合い続けてきた笹原氏の「新規事業史」を紐解きます。

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技術を体験へ「翻訳」する。iモード以前に学んだ0→1の原点

Biz/Zine編集部・梶川(以下、梶川):2025年、NTTドコモ・ベンチャーズ(NDV)の代表に「2年ぶり2度目」の就任をされた笹原優子さんに、そのキャリアにおける新規事業史を伺います。笹原さんといえば「iモード立ち上げ」のイメージが強いですが、実はそれ以前から「0→1」に関わっていたそうですね。

笹原優子氏(以下、笹原):実はそうなんです。1995年の入社当初は法人営業部でシステム営業をしていましたが、当時はアナログからデジタルへ変わり、データ通信が始まったばかり。その後、市場飽和を見越して「通信に新しい価値を乗せる」ことをミッションとする「モバイルコンピューティングビジネス部」ができ、そこへチームごと異動したのが私の「0→1」の原点です。

梶川:iモード前夜に、すでにデータ通信の付加価値を模索する部署があったのですね。

笹原:たとえば「10円メール」というサービスがありました。当時は通信料が高かったので、10円分の通信時間内に接続してメールを送り切るという仕組みです。私は対応端末の一つ、シャープのザウルスのOEMである「モバイルZ」の担当として、商品企画やUIの検討、さらには取扱説明書の起案まで自分で行っていました。

梶川:取扱説明書まで自ら手がけられたとは驚きです。

笹原:その経験がすごく大きかったです。当時はインターネットも普及しておらず、多くの人にとってデータ通信は未知の体験。だからこそ、技術用語をそのまま使うのではなく、お客様が怖がらずに使える言葉に「翻訳」し、体験を設計する必要がありました。この時期に叩き込まれた「お客様の体験をどう設計するか」という基礎が、今に至るまで私の考え方の土台となっています。

株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ 代表取締役社長(CEO・CCO) 笹原優子氏
NTTドコモ・ベンチャーズ 代表取締役CEO&CCO 笹原優子氏

「神は細部に宿る」。プラットフォームを支える思想

梶川:1998年にはiモード立ち上げ部署へ異動されます。そこでの役割はどのようなものでしょうか。

笹原:端末とサービスの両方の企画を担当しました。絵文字の実装、通信仕様の策定、着メロのダウンロードフォーマットの検討など多岐にわたりました。ここでも取扱説明書を担当したのですが、メーカー4社の画面イメージやエラーメッセージがバラバラであることに気づき、「これではお客様もコールセンターも困る」と統一に奔走したこともありました。

梶川:まさに「神は細部に宿る」ですね。iモードという巨大プラットフォームの黎明期に得られた最大の学びは何でしたか?

笹原:「パートナーへのリスペクト」ですね。当時、メーカー様向けの取扱説明書の要件書を書いていた私に、上司の松永真理さんがこう問いかけました。「あなたがメーカーさんだったら、これを見てどう思う? 『〜すること』という命令口調で書かれたら、パートナーとして対等じゃないでしょう」と。

梶川:仕様書という無機質なドキュメントであっても、スタンスが問われるということですね。

笹原:はい。それですべて丁寧な言葉に書き直しました。また、社内メールでコンテンツプロバイダー様を略称で呼んだ社員に対して、夏野剛さんが「社内の言葉は必ず外に出る。ちゃんと『様』をつけなさい」と指導していたのも印象的でした。巨大なサービスは一社では作れません。社内外のパートナーをリスペクトし、Win-Winの関係を築くというiモードの文化は、今のオープンイノベーションの仕事にもそのまま生きています。

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スマホ台頭で痛感した“限界”、海外での学び直しへ

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この記事の著者

梶川 元貴(Biz/Zine編集部)(カジカワ ゲンキ)

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