ビズジンが主催する無料イベント「Business Book Academy」(協賛:日立製作所)。12月は、都市におけるイノベーションを「世界」と「日本」の動向比較により深掘りする。講師は、Biz/Zine連載でもお馴染みの、持続的にイノベーションが起き続ける「生態系」を研究(Think)しデザイン(Do)する、シンク・ドゥ・タンク、リ・パブリックの田村大氏と内田友紀氏。「イノベーションの都市型エコシステム」の事例と実践を紹介した。
イノベーションの都市型エコシステムを読み解く
イノベーションは土地や都市に根ざした生態系を持っている。イノベーションの未来はこの生態系を読み解き、デザインすることで作っていくことができる、と田村氏は語る。
図1. EUのイノベーション生態系
出典:International Journal of Technology Management vol. 66, num. 2/3
これはスタンフォード大学のマーサ・ラッセル博士らが発表したICTスタートアップの研究によるデータだ。欧州6カ国6都市に本拠地を置く企業が赤、それに関わる研究者や経営者といった個人が青、投資家や金融機関が緑で表され、それらの繋がりがリンクされている。
では、ここにイノベーションの本拠地とも言えるシリコンバレーのデータを加えてみたらどうなるだろうか。
図2. EU+シリコンバレーのイノベーション生態系
出典:International Journal of Technology Management vol. 66, num. 2/3
それまでは大規模で広い裾野を持つビジネス・コミュニティがあると感じられたパリやベルリンのような欧州の主要都市も、シリコンバレーの圧倒的なプレイヤーの数と密度に圧倒される。