市民の実験がイノベーションを生み出すデンマーク
福祉国家として、また社会課題をデザインで解決する志向が強いことで有名なデンマークはローカルに根ざす特徴を持つという。
デンマークのイノベーションの原点は、自分たちが自分たちの生活をどう変えていくのかということ。
例えば、製薬会社が開発した「NovoPen」というインシュリンの注入器は、「自分自身に針を突き立てる」瞬間を患者の目に触れないようにしたことで、大ヒットした商品だ。20年以上前に、製薬会社という「象牙の塔」の文化を色濃く持つ企業が、糖尿病患者とタッグを組んでこの製品を生み出したという事実は、今の時代になっても色褪せない。
また、こういったデンマークのイノベーション文化を求めて、海外企業もやってくる。スウェーデン発祥のIKEAが、デンマークの首都・コペンハーゲンに設けたSpace10は、その好例だ。
いろんな人がIKEAの製品を使って新しいライフスタイルの実験をする場。ここから、IKEA単独での開発プロセスの中では考えられなかった、新しいアイディアをどんどん出していこうっていう拠点を作っています。
デンマークで生み出されるイノベーションに共通しているのは、自らの生活を常によりよいものに変えていこうという当事者マインドだ。それは「世界中に普遍的な価値を提供しよう」というシリコンバレーのイノベーション文化とは対極をなす。
デンマークのイノベーションエンジンは「市民」「社会」「実験」だと田村氏は読み解く。「市民」が自らの生活を率先して変える「実験」を行うことで、世界に類を見ない「社会」を生み出す。これは、高度な福祉国家を成立させている市民の成熟度がなせる技だろう。そして、日本にも同じイノベーションエンジンを持つ都市がある。それが、リ・パブリックが2013年から活動を行う福岡だ。
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