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INNOSIGHT流イノベーションの興し方

「マーケティング課題」を解決する、クリステンセン教授の“Job to be done”とは?

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 『イノベーションのジレンマ』で知られるクレイトン・クリステンセン教授が来日講演で語ったのは3つの理論だった。その3つの理論とは「破壊的イノベーション理論」、「job-to-be-done(ジョブ)理論」そして「資本家のジレンマ」についてである。その中でも、ジョブは顧客が何を価値あるものととらえるかを理解するうえで非常に重要な理論となっており、『バリュー・プロポジション・デザイン』(翔泳社)にも取り上げられるなど、シリコンバレーの起業家にとっても人気のツールである。ジョブを使った価値創造の手法を教授の講演内容と交えてご紹介したい。

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無駄な顧客データは取らなくて良い―「顧客中心」から「顧客のジョブ中心」へ

 マーケティング調査をする際、顧客の年齢や性別、住所、収入などをつぶさにデータ収集しがちだ。しかし、「私が63歳、男性で身長が203cmであるということと、アイスクリームを買ったということの間には相関はあっても因果関係はない」とクリステンセン教授は言う。頑張って集めた顧客の属性(デモグラフィック等)と、購買行動の間には、直接的な関係がない。お客さんは何がしたいのか、という問いから始めることを教授は勧める。日本のマーケティング現場においても、販売データ、顧客アンケート情報、競合調査データなどの情報があるにもかかわらず、データがバラバラのままインサイトへとつながっていないケースをよく見かける。「顧客中心」から「ジョブ中心」へと考え方をずらしてみてはどうだろう。

ジョブ中心のマーケティングはなぜシンプルなのか?

ジョブ中心のマーケティング

 人間がやりたいことは、歴史を遡ってもあまり変わっていない。カエサルの時代から、手元にある荷物をどこか遠くへなるべく早く届けたいというジョブは存在していた。それが時代とともに、異なる手段によって解決されてきただけなのである。技術の発展とともに、物流はより早く、より正確になり、ジョブを解決するためのオプションが増えてきていることがわかる。自分が顧客の立場になってみればわかるが、顧客は宅配便業者をどこにするか選ぶ以前に、自ら持ち運んだり、人に頼んだりというオプションを検討している。世の中が急速に変化したり、複雑になったりしていると感じるのであれば、ジョブを原点としてみてみてはどうだろうか。ジョブは本質的で変わっていないが、解決手段だけが変わっていることに気づくのではないだろうか。

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この記事の著者

津田 真吾(ツダ シンゴ)

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