2025年12月3日、スパイスファクトリーは、2026年1月1日付で本村章氏が執行役員CDO(最高デザイン責任者)として経営に参画することを発表した。同社は今後、サービスデザインとデザイン・イネーブルメントを核に、企業・行政・公共機関向けサービスの開発およびサービス価値向上に注力する方針である。
アメリカでコミュニケーションデザインを専攻し、サンフランシスコの Dubberly Design Office にて IoT、医療ソフトウェア、ブランドガイドラインなどの国際案件に従事。帰国後は、株式会社ゆめみに入社。デザイン組織をゼロから立ち上げ、50名規模の組織への成長させると共に、デザイン事業責任者として事業成長を牽引。金融、製薬、医療、通信、流通、モビリティ、自動車、行政など多業界にわたり UX リサーチ、サービスデザイン、組織導入支援を推進。デザインマネジメントや人間中心設計における国内外のカンファレンス登壇や学術論文執筆も行う。
2026年1月よりスパイスファクトリー株式会社に執行役員CDOとして就任、株式会社フライング・ペンギンズにてStrategy & Insights Leadに着任。
CDO新設の背景には、世界的なデジタル化や生成AI普及を受けてエンドユーザーの体験価値(CX)重視が加速していることがある。Adobeの「AI and Digital Trends 2025年版」では、顧客の71%が企業にパーソナライズされた提案を期待している一方、期待に応えられていると感じている顧客は34%にとどまるなど、顧客体験のギャップが課題となっている。
こうした状況に対して同社は、「利用者視点でのサービス価値向上」だけでなく、サービスを継続的に改善できる「組織としてのデザイン実践能力の育成」にも注力している。新たに経営レベルでデザイン推進を担うCDO職を設けることで、デザイン・イネーブルメント型の変革を加速させる狙いがある。
本村氏は米国でコミュニケーションデザインを専攻し、サンフランシスコのデザインファームでIoTや医療ソフトウェアの国際案件に従事。その後、国内でデザイン組織の立ち上げや成長、事業責任者としての経験を有し、多業界へのUXリサーチやサービスデザイン導入を推進してきた実績を持つ。今後はスパイスファクトリーにて、デザインを組織内の専門領域にとどめず、誰もが価値創造の担い手となれる「共創と学習の仕組み」の構築を目指すとしている。
また同社は、行政や公共機関も含めたデジタルトランスフォーメーション支援に取り組んでおり、47都道府県・37企業・14行政機関でのデザイン活用実績にも着目している。上級管理職の65%が「AIと予測分析の活用がビジネス成長に貢献する」と考えており、61%がパーソナライズされた顧客体験が成長の鍵と認識するなど、国内でもCXの重要性が高まっている。
今後の活動として、2026年2月5日に「公共・金融・デザイン」をテーマにしたイベント開催も予定している。
スパイスファクトリーは引き続き、アジャイル型のデジタルインテグレーションを推進し、デザインと技術を融合した価値創出に取り組む方針である。
