サステナビリティ経営で同時に満たすべき「3つの要素」
産業革命以降、企業活動が自然環境に与える影響は増大し続けてきた。かつては経済価値と環境・社会価値を切り離して考えていた企業も、現在ではそれらの強い依存関係を認識し、自社の活動が及ぼす影響を把握するフェーズにある。しかし、2026年、企業に求められる視座はさらに一段階引き上げられようとしている。
「私がこの業界に入って30年になりますが、今まさにビジネスの変曲点に差し掛かっています」
冒頭、PwC Japanグループの屋敷信彦氏は、サステナビリティ経営を取り巻く環境の変化をこう表現した。かつてのサステナビリティは「寄付・慈善活動」という第1世代から、法令遵守やリスク管理としての「予防と賠償」を掲げる第2世代へと進んできた。
しかし現在は、環境・社会価値は経済活動の基盤そのものであり、それらが崩れれば経済も成り立たないという「依存関係」にあることが前提となっている。「気候変動対策のために太陽光パネルを設置したが、それによって生物多様性が毀損されるといったトレードオフは、もはや許容されません」と屋敷氏は指摘する。1つの課題解決が他の要素に悪影響を与えることを防ぎ、環境・社会・経済の3要素すべてで成果を創出する「実行」の段階に突入しているのだ。
事業が社会に与えるインパクトを包括的に把握する
企業が直面しているのは、単なる環境意識の高まりではない。ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)やTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)といった国際的な開示基準の動きは、気候変動単独の開示から、自然資本や人権を統合した包括的な開示へとシフトしている。
屋敷氏は、こうしたグローバル動向を背景に、日本企業が陥りがちな「開示のための開示」に警鐘を鳴らす。
「将来的には、気候・自然・人権の3つを統合した移行計画の策定が求められる可能性が高い。自社のビジネスモデルが環境や社会に与える正負のインパクトをデータで把握し、全体最適(ホリスティック)な意思決定を下すことが不可欠になります」(屋敷氏)
