三菱地所は大手町の再開発を進めているが、FINOLABもその一環だ。冒頭の挨拶で、三菱地所の湯浅哲生氏は「大手町は今、金融のメッカでもあり日本の根幹を支えるエリア」と語り、FINOLABを日本のFinTechの聖地にしたいと語った。
FINOLABでは、「FINOVATORS」と名付けられたプロフェッショナルチームがFinTech企業へのメンターとして設置される。その代表理事でもある増島雅和氏(森・濱田松本法律事務所)は、「金融業界は規制が多く、スタートアップにとっても未知な部分が多い。 Fintechスタートアップが次々に起業し世界に羽ばたく環境を日本に整備するためには、より大きなスケールのシナリオづくりが重要。そのためには特定の事業者やベンダーの利益を超えた専門家集団の場が必要。パビリックセクターと連携しながら、知見を結集し、官との協業も模索していきたい」と語った。
また、金融庁 総務企画局企画課信用制度参事官室企画官の神田潤一氏も応援に駆けつけ、「金融庁としても今年度の行政方針としてFinTechの推進を織り込んでいる。FINOLABがFinTech企業の“部室”としてここから好循環が生まれてくることを期待する」と語り、得意のカンツォーネの歌唱を披露した。
FINOVATRSのファウンダーとして、マネーフォワードの瀧 俊雄氏はシリコンバレーのベンチャーアクセラレーターとして有名なYコンビネーターのポール・グレアム氏の言葉の「スタートアップの5つの要素は、決意、柔軟性、想像力、悪戯心、友情」 を引いて、信頼できる仲間や競争環境を育む場としてのインキュベータ施設としてのFINOLABの重要性を語る。FINOLABのような場所で、近くにライバルがいると「お隣さん効果」(向こうも頑張っているならこちらも頑張ろうという意識や創造力が伝播していくこと)が生まれるのだという。
パネルディスカッションでは、FINOLABに入居が決まっているFinTech系スタートアップ企業として、カウリスの島津敦好氏(セキュリティ)、カレンシーポートの杉井靖典氏(ブロックチェーン)、Liquid(生体認証)の轟木博信氏が登壇し、モデレーターは電通国際情報サービス氏の伊藤千恵氏がおこなった。 3社とも、スタートアップ企業でありながら、丸の内で安値で居を構えることのメリットを語った。弁護士やメンターへ気軽に相談できること、リクルーティングやパートナー選びの際の丸の内というオフィスが功を奏するのだという。
FINOLABは東京銀行協会ビルの14階。275坪で、コワーキングスペースや共用会議室からなる。今後はプロフェッショナルチームやメンターの来場に合わせて、入居企業だけでなくFinTech系企業との交流の機会を増やしていくという。