「日本グロースハッカー大賞」は、Kaizen Platform が、年間で最も活躍したグロースハッカーを表彰するために創設したもの。その表彰イベントであるJapan Growth Hacker Awardsも昨年に続く開催となる。
グロースハックは「産業」である
「会社にとってWebのUIは新しい“店頭”で、そこを変えるだけで多くの成果が得られる。お客様のUIを改善して積み上げてきた売上は、240億を超えた。UI/UXの改善は会社の経営のKPIに直結する」と、Kaizen Platformの須藤社長は冒頭で述べ、企業のビジネスのWebのUIを改善し、ビジネスを成長させる「グロースハック」は、インターネットの産業になっていると語った。
グロースハックの目的とは、ITサービスやプロダクトの成長(グロース)であり、データ分析を起点にした「改善」である。須藤社長はそのための「Try&Errorの回数」こそが成長の鍵であるという。須藤社長が語る「改善」は、経営のKPIに直結している。だからこそ、UI/UXの改善は経営テーマであり、Kaizen Platformの活動は、これまでのリソースの壁を取り払い「経営のオープンソース化」を図ることだと強調した。
運営者の思い込みを排除し、初見の「あれ?」を重視
部門賞では、金融業界事例として「セゾンゴールドカード改善」、スマホ改善事例として「ニフティ転職サイト改善」、求人業界事例 として「スタッフサービスサイト改善」が紹介された。
セゾンゴールドカードの改善事例として、受賞者の牧野健太郎氏は、ゴールドカードのステイタス感、高級感を意識し、入会を促進する改善ポイントを検討し、3つのラウンドで改善を実施し、年会の利用率を24%アップさせたことを紹介した。
もともとのサイトは「Amazonギフト券」が強調されていた。「ゴールド会員を検討するユーザーに対して、Amazonのギフト券プレゼントは本当に効くでしょうか?」
牧野氏はそう問いなおし、訴求ポイントをギフトではなく、年会費無料や永久不滅ポイントに変更し、企業側からはそれまで当たり前とみなされていたポイントを、もう一度顧客視点から考え、UIの改善をおこなったという。 「どんなサイトでも、運営者側と作り手の思い込みがあります。その思い込みを排除していくことが大事です」と牧野氏は語った。
スマホ改善事例として「ニフティ転職サイト改善」を発表した片岡彩子さんは、求人の検索結果の一覧を、ユーザー視点で見直すことから大胆でシンプルな画面に改善した。
「転職したい人はいろんなサイトを見て疲れているんです。良かれと思って配置された情報のほとんどがいらないのでは?と思いました」と言う片岡さん。大胆に掲載情報を削りアクションを誘導し、詳細ページへの遷移を15%アップさせた。
他にも、ユーザー視点、ファーストビュー、運営者の思い込み排除、情報の絞り込みなど重要な改善の知見が紹介された。
当日発表された日本グロースハック大賞の主な受賞者は以下の通り。
■スポンサー賞
【ヤフー賞】 玉井秀樹さん
【ジョブハブ賞】 谷永里子さん
【とらばーゆ賞】 平野順子さん
【ガリバーインターナショナル賞】岩野正史さん
■大賞
【グロースハッカー・オブ・ザ・イヤー】福井 渡さん
【International Award】 Andy Linさん
■部門賞
【金融部門賞】 牧野健太郎さん
【不動産部門賞】 生駒 智洋さん
【人材サービス部門賞】 北古賀紀行さん
【ECサイト部門賞】 岡村 しんしさん
【スマートフォンサイト部門賞】 片岡彩子さん
【オープンオファー改善賞】 牧野健太郎さん、立木 亜希さん、他1名