「ハブ人材」と「内なるレジリエンス」を保つ距離感

【対談】入山 章栄 氏 × 佐宗 邦威 氏:第3回

 対談連載『Design×Management=Innovation 』は、早稲田大学准教授・入山章栄氏(『世界の経営学者はいま何を考えているのか』著者)と佐宗邦威氏(人気ブログ「D school留学記〜デザインとビジネスの交差点」著者)の2名を対談ホストに迎えて、断片的に語られることで本質が見えにくくなっている「イノベーション議論」に、横断的な視点を入れ各界のトップランナーを迎え議論を深めていく企画である。本連載企画の方向性を示すために、対談ホストである2人の対談をお届けする。今回は入山・佐宗対談の第3回目をお送りする。1回目の記事はこちら。2回目の記事はこちら

[公開日]

[語り手] 入山 章栄 佐宗 邦威 [画] 清水 淳子 [取材・構成] 伊藤 真美 [編] BizZine編集部

[タグ] タレントマネジメント ビジネスモデル ハブ人材 レジリエンス マインドフルネス

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「イノベーションのハブ人材」とは、何者なのか?

佐宗:
 イノベーティブな都市では、魅力的な人を中心に広がった輪の中で、人と人とがノンオフィシャルに結びついていて、一気に新しい取り組みへと昇華していく。前回はそんな話をしましたが、さらに個人的には、そうした結びつきの「ハブとなる人」の存在が気になっています。

 異分野の交流だったり、人の物理的な地域移動であったり、異なるローカルとローカルの結びつきが生まれるきっかけは様々ですが、そこには必然的には必ず起点となる人の存在があるように思うんです。

 たとえば、地域活性化に取り組んでいた人がデザインを学んだり、ビジネス分野の人がUX開発に気づきを得たり。そうした人たちは、Facebookなどをみていても、ボーダラインがないというか、超異分野横断の視点を持っていますね。いろいろなコミュニティに足を突っ込んでいて、相互の人と人同士を繋げています。ファシリテーター的な素養を持っていて、自分を出しすぎない。

 アメリカのコワーキングスペースをリサーチしたことがあるのですが、その中でもコミュニティのホスト的な潤滑油の役割を果たす人がいて、「CHO(Chief Happiness Officer)」と名乗っていましたが、今まで目立たない役割を担っていた人がむしろカギのように思います。

入山:
 「ハブ人材」ということかな。ネットワークの構造を調べていくと、ローカルとローカルをつないでいるのは、ごく限られた人が結節点になっていて、経営学者はそうしたハブ人材、ハブ機能を「ストラクチュアルホール」と呼んでいます。それぞれネットワークを持つストラクチュアルホール同士がつながると、また一気にネットワークが拡大するんでしょうね。

佐宗:
 そうです、そんな感じですね。2~3年前までは、Facebookが一気に広がってリアルコミュニティが形成されてきた段階だったと思うんですよね。ネット上のコミュニティとリアルコミュニティの融合が起こった。それがここにきて、リアルコミュニティの形成が飽和してきて、今度は、ハブ人材同士が融合し、コミュニティ同士がつながり、ネットワークがさらに薄く広がってきたような感じがします。ネットワーク理論で言うと、「弱い絆の繋がり」(「弱い紐帯の強み」"The strength of weak ties"/マーク・グラノヴェッター )が等比級数的に増えたというか。ちなみに、これは日本語圏のFacebookで起こっていることという前提が付きますが。

入山:
 ステップを踏んでいるということですね。その文脈でいうと、mixiが流行り、その後縮小していった理由がよくわかります。以前は関心がある人同士が内輪でコミュニティを作っていましたが、いまはTwitterのようにバラバラの一人ひとりが薄くいろんな人達とつながるようになってきました。

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