「内なるレジリエンス」を高める―経営学にできること
入山:
より多くの人が自発的な思いで様々な人と出会い、自分のやりたいことをやろうと動き始めるためにはどうしたらいいと思いますか?
いきなり「組織の外に出よう」といってもやっぱり怖いと思うんです。まずは今いる組織の中でやりたいことを形にできる機会を作ることが、そうした人たちの活性度を上げるのではないかと思います。
その原動力となる「内なるレジリエンス」を高める方法として、リンダ・グラットンは著書『未来企業』の中で、知性と知恵を増幅する、精神的活力を高める、社会的つながりを築く、という3つが大切だと述べています。
「知性と知恵を増幅する」ためには、アイディア発掘やオープンイノベーション活用などが重要で、「精神的活力を高める」ためには、柔軟な働き方が重要で、「社会的なつながりを築く」ためには、責務の透明性やコミュニケーションが重要だとしています。これらを組織が担保できる機能を持てば、心が安定し、いっそう意欲を持って動けるようになるということのようです。この考え方は、背景として変化が激しい時代の中で、企業の価値観を「効率化・収益の最大化」から、「社員・組織の持続可能力」にシフトすべきだという大きなパラダイムシフトを提示しているように思います。