コストリーダーシップ戦略-「効率の追求」と「規模」
卓越したオペレーション
卓越したオペレーションを追求する企業は、「品質、価格、購買の利便性を含む総合力において、市場で最高の水準を維持している企業である。革新的なプロダクトを提供しているわけでもなく、顧客とのワンツーワンの関係を育んでいるわけでもないが、業務の実行力に卓越している。」ということになります。マクドナルド、ウォルマート、フェデックス、デル、サウスウエスト航空などは代表的な企業ですね。この戦略を追求する企業は、ビジネスモデルのオペレーション基盤にまず焦点を当て、それにフィットさせるようにプロダクト革新、顧客インターフェース、財務基盤の3つの柱をデザインしていくことになります(図12)。
この戦略を追求する企業のオペレーション基盤は、プロダクトやサービスのみならず、そのデリバリーを含む全てのオペレーションに対してコスト効率、高品質と信頼性を徹底して求めます。それは、自社のみならずサプライヤーやパートナーを含む外部の協働ネットワークとのサプライチェーンに対しても要求されます。
ターゲット顧客は、基本的には不特定多数の幅広い層を対象とします。ただし近年では、このタイプの企業でもITを活用したマスカスタマイゼーションやパーソナライゼーションサービスも可能になってきました。
収益モデルに関していえば、競争力のある値付けと低マージンを補うための大量販売に対する仕組み作りが必要となります。コスト構造は、まずはオペレーション基盤上のコストを削減すると同時に、オペレーション上の品質と信頼性を向上させるための投資が中心となります(図13)。
皆さんのビジネスは、どのタイプの価値基準を指向されているでしょうか? 最後に、3つの戦略の比較をご紹介して締めくくりたいと思います(図14)。
注)『ナンバーワン企業の法則―カスタマー・インティマシーで強くなる』(1995/09 日本経済新聞社)
サンプルで登場する企業の事例は、当時のものです。