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ガートナーが「ビジネス・コスト最適化の10のアイデア」を発表

ビジネス価値を付加するテクノロジを継続的に探る施策を実施する必要がある

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 ガートナー ジャパンは、日本企業のビジネス・コストを最適化する10のアイデアを発表した。発表では、多くのCIOがITコスト削減の必要性を認識しているとはいえ、デジタル・ビジネスへの変革によって、今後IT部門は、単純な経費項目の削減よりも先を見据え、より情報技術(IT)のビジネス価値を最適化することに焦点を当てることを迫られるとしている。

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 ガートナーは、企業のIT部門は、それぞれのITコスト最適化における初期の取り組みを一通りやり尽くしているが、成功を収めるために、ビジネス価値を付加するテクノロジを継続的に探る「ビジネス・コスト最適化」の施策も併せて行う必要があるという。

 ビジネス・コスト最適化とは、ITを利用してビジネス・コストの最適化を実現すること。デジタル時代のコスト最適化においては、テクノロジへの賢明な投資を行うことで、ビジネス・パフォーマンスの向上のために「ITコスト最適化」と「ビジネス・コスト最適化」を併せた施策を行う必要がある。この実現には、場合によっては、ある分野におけるコストの削減やビジネス成果の向上を実現するために、他の分野のコストが増大する可能性もある。

 ガートナー リサーチ部門バイス プレジデント兼 最上級アナリストのジョン・ロバーツ氏は、次のように述べている。「デジタル・ビジネスの時代において企業が効果的なコスト最適化を進めるには、絶えず新たな機会を探求していくためのビジネス戦略およびテクノロジ戦略の策定の一環として、事前対応的なプロセスを整備することが重要です」

 ガートナーは、CIOがビジネス・リーダーと連携してITを有効活用し、ビジネス成果を向上させるために、以下に示す「ビジネス・コスト最適化の10の重要な機会」を提示しており、既存のコスト最適化の取り組みとこの10のアイデアを比較して確認することを推奨している。

 1. ビジネス・プロセスのデジタル化

 デジタル・ビジネス環境では、ビジネス・プロセスが不可欠な企業資産であるという認識を高める動きは、依然として緩慢で困難な取り組みとなっている。必要なすべてのコンピテンシと専門知識を集結させる統合アプローチを構築し、また、エグゼクティブ・リーダーシップ・チームの賛同を得られる体制を策定すべき。プロセス管理が企業の運営体制の一部として確立されている場合、変更も継続的な通常のプロセスの1つとなる。

 2. 継続的改善の組織文化

 企業は時として、「いつもこのようにやっている」という従来の姿勢にとらわれ、それが無駄を生むことがある。CIOは、前段階における問題が原因となって再作業や遅延といった形で現れてくるこのような無駄を明らかにして排除するために、ビジネス・リーダーと協力して作業し、リーンによる改善に重点的に取り組む必要がある。

 3. 顧客セルフサービス

 今日の顧客は、迅速かつオンデマンドでの回答を求めている。CIOはセルフサービス・テクノロジを扱う戦略を確立する必要がある。また、絶えず更新するとともに、顧客の観点と経験に基づいたものにしなければならない。

 4. アナリティクスを通じたビジネス効率の改善

 従来のビジネス・インテリジェンスを超えるアナリティクスの価値を過小評価してはいけない。先進的アナリティクスは生命を救い、機器の安全性を高めることができるだけではなく、顧客維持やマーケティング・レスポンスなどの分野においては、たとえ数パーセントでもこれらを向上させるために提供される情報を活用することで、ビジネスに大きなインパクトをもたらすことが可能だ。

 5. データ管理の改善

 企業情報管理を使用して情報を全社規模の資産として扱うべき。これは、社内のすべての人がデータにアクセスできるとともに、こうしたデータを共有して、より質が高く、より迅速な意思決定を通じてビジネス価値を創出するために活用できるようになることを意味する。

 6. プロセスの自動化(ロボット工学)

 CIOおよびビジネス・リーダーは、現在の標準化やプロセスの自動化という考え方の枠を超えて、ロボット工学を取り入れ、インテリジェントなビジネス・プロセスを構築するためにモノのインターネット(IoT)とスマート・マシンを活用する必要がある。

 7. 資産管理の改善

 資産に関する情報そのものが重要な資産だ。企業が資産について、より質の高い意思決定を下すことができるように、リアルタイムな情報とパフォーマンスを提供するためにIoTを活用すべき。

 8. サプライチェーンの最適化

 一般にサプライチェーンの先駆的企業は、平均的企業よりもサプライチェーン・コストを20~50%も低く抑えている。CIOは、ITとビジネス・コストを最適化するために、従来型と非従来型の双方の手法を併用して、コスト削減だけにとどまらず、売上増大の実現も求められる。

 9. 在庫管理の改善

 供給の操作手段としての在庫と、貸借対照表上の金融資産としての在庫という二重の存在が、在庫の矛盾となっており、これがビジネス・リーダーにとっての課題の1つ。ただし、在庫は運転資本資産であるため、在庫の削減は最終損益に直接的な価値をもたらす。

 10. ビジネス・プロセス・アウトソーシング

 企業向けのビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)の管理は複雑な課題であり、特に、サービスの設計または契約が戦略的なビジネス・サービスやパートナーシップではない場合にはなおさらだ。BPOサービスを影響力のある形で管理するために、顧客満足度の向上といったビジネス成果に重点を置くことが重要だ。

 ガートナー リサーチ部門リサーチ ディレクターの片山博之氏は、上記の10のアイデアに関して次のように述べている。

 「コストの最適化とは、無駄をなくし、メリハリをつけたコスト配分をすることによって、限られたリソースで最大の価値を創出することです。ITコストだけではなく、ビジネス・コストを先進的なテクノロジで最適化することによって、コスト削減と売上増大といった大きなビジネス効果を見込むことができます。このビジネス・コストの最適化を実現するには、IT部門とビジネス部門、さらには経営者も含めた、強力な協業が不可欠となります」

 なお、この発表についてガートナーは、レポート「デジタル・ビジネス時代のコスト最適化」、および「デジタル・ビジネス時代のビジネス・コスト最適化:10のアイデア」で詳細を示している。また、10月5日(水)から7日(金)に東京(グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール)で開催される「Gartner Symposium/ITxpo 2016」において、CIOのリーダーシップおよびビジネスの中核へデジタル革新をどのように進めていくのかについてディスカッションが行われる。

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BizZine編集部(ビズジンヘンシュウブ)

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