“データ-ドリブン”が陥る最初の落とし穴がこれだ!
第一回の討議では敢えてデータそのものには触れず、「課題の定義」から開始した。
データ活用の現場で失敗、遠回りする多くのケースでは、いきなりデータを集めたり、加工・分析したりすることから始めてしまう。結果的にそのアプローチではその後のプロセスが発散して非効率になるばかりか、結論も曖昧になってしまいがちだ。その原因の一つは最初の入口でしっかりと「明確にしておくべき」ことがらをそのままにして発進してしまうことにある。
今回チームに与えられたテーマは、「地場産業を活性化するには」ということをデータ用いて論じることであった。ここで「明確にしておくべき」こととは次の2つだ。
- 地場産業の定義や範囲は?
- “活性化している”とは具体的にどういう状態で、どう測れるのか?
いずれも、この“課題の具体化”をないがしろにしたまま進むと、人によって定義や理解が異なるため、集めるデータも目指すゴールもぶれたままになる。無駄な作業と噛み合わない議論が続き、筋が通っていないために最終的な提案の説得力もガクンと落ちる。いくらRESASが優れていようと、データが素晴らしくとも、質の高い最終結論は望めない。
この場でも地元の人間であるメンバーに「地場産業って?」と聞くと、誰もが「金属製品」を思い浮かべる。ところが、「その根拠は?」と言われると、回答できなかったり人によって違っていたりもする。更に、「では上位3つの地場産業を挙げて」と聞かれると恐らく固まってしまったであろう。このまま開始すれば、課題解決の入口が既に“100%主観”であり、その後いくら客観的な分析作業を行っても、結論は「主観のベース」を超えられず、説得力が生まれないのだ。
RESASの情報に触れるのはまだまだ先だ。