次なるフロンティアは、人工知能による知識の生成
まず、人間が見えないものを見る能力の例としてわかりやすいのが、Google DeepMindが開発した囲碁の人工知能「AlphaGo」である。
2016年、囲碁のトップ棋士イ・セドル九段とAlphaGoが対戦した時に、人間の解説者はAlphaGoの打つ手に対して「今のAlphaGoの打ち手は、悪手ですね」と評価しました。しかし、そこから10手ほど進むと、AlphaGoの打ち手の素晴らしさに気づくんですね。
人間が囲碁を打つ時に、計算が複雑になり、先を予測できなくなるため、碁盤の真ん中には打たないんです。でも、AlphaGoは人間よりも複雑な手を読めるので、真ん中からも打っていく。このAlphaGoの指し手が人間には悪手に見えてしまったわけです。人工知能には人間に見えないものが見えていたんです。
AlphaGoが大量のデータから人間に見えない法則性に気づいたように、人工知能が科学の領域において「新しい法則」を発見する可能性を北野氏は指摘した。