EdTechとは「教育×テクノロジー」のイノベーション
浜野:
教育分野でのテクノロジーの活用の議論が活発になってきました。
佐藤:
そうですね。「EdTech」(エドテック:教育×テクノロジー)以外にも、HealthTech (医療)や AGRITech(農業)、HRTech (人事)、FinTech(金融) など、「X-Tech」と呼ばれる「各分野でのIT活用の進化」が、近年急速に注目を集めています。全てに共通しているのは、技術による効率化だけでなく、競争原理や制度や仕組み、法制度までも含め、根底からひっくり返してしまうようなイノベーションの可能性を指していることです。
MIT メディアラボ所長の伊藤穰一氏は、AI(After Internet)の世界では9つの原理原則になると語っています。その中の一つ「Learning over education」では、従来の教育の制度や仕組みを越えた「学び」が手に入るとしています。インターネットによって、教育=Education という「教える側」から、学び=Learning という「学ぶ側」へと主体が移ったというのです。つまり、これまで教育や学校という仕組みに頼らなければならなかった知識習得が、自ら能動的に得に行く意思さえあれば、いつでもどこでも「学び」が手に入るというわけです。これまでも学習者中心主義(ラーナーセントリック)というものがありましたが、これが急速に加速するということです。
浜野:
なるほど、EdTechは技術そのものだけでなく、主体的な学びを実践するものとして、捉えられているんですね。
佐藤:
はい、技術やツールとしてだけではなく、教育を提供する教師や学校、制度を考える教育委員会、ツールや教材を提供する事業者、学習者を見守る親など、教育関係者すべてに影響を与える技術革新として考えられています。