単一のコードラインによる「真のERP」を強調
Workdayはグローバルで展開するクラウド型財務・人事アプリケーションであり、Fortune 500の3分の1の企業に導入され、全世界で2600万人が利用している。今回の新機能は今年10月にアメリカで開催された「Workday Rising 2017」で発表されたもの。
Workdayは「Power of 1」をスローガンとしており、すべてのユーザーがひとつの製品バージョンとコードラインを使用することを理念としている。そのため、今回の新機能も、全世界同時リリースとなる。
人事・財務システムといえば、現在ホットなHRテックの分野であり、新たに参入する企業も増えている。こうした中で、Workdayの立ち位置は「真のERPベンダ」だと、同社のプロダクトマネジメントディレクターの宇田川氏は言う。
「日本では、ERPは基幹業務システムと誤訳されてきた。しかし本来は企業の持つ人員や資金などのリソース(資産)の配置を企画するためのもの。PDCA人事システムを中心にしながら企業がビジネスの変革を行す」(宇田川氏)
人事とコストを統合的に把握するために、タレントマネジメントに会計システムを取り込んだこともそうした考えからだという。また、従来の業務データからサマリーを抽出し、DWH(データウェアハウス)で分析するという方法ではなく、実行データそのものを分析データとして扱うことも特色だ。
財務・人事をコアにPDCA「Workday プリズム アナリティクス」
プリズム アナリティクスは、日立製作所、Christiana Care、Shelter Mutual Insurance、トムソン・ロイター、ユナイテッド・テクノロジーズなどの顧客と協力して設計された。Workdayファイナンシャル マネジメントやWorkdayヒューマン キャピタル マネジメント(WorkdayHCM)、Workdayプランニング、Workdayベンチマーキングを含むWorkdayアプリケーションに統合されている。ユーザーは単一の環境で「計画 - 実行 - 分析」のサイクルを回すことができる。
「買収した企業のサービスを、ばらばらで組み合わせる他社とは異なる」と宇田川氏は言う。
さらに人事、財務データ以外にも企業内や外部に存在する記録システム(SoR)からもデータを引き出し、レポーティングやビジュアライゼーションも行うこともできる。用途としては、外部の従業員エンゲージメント調査と組み合わせ自社の退職やエンゲージメントを把握する、財務データ、営業パイプライン、製造ラインやPOSデータの組み合わせにより収益性の課題の解決を発見するなどのシナリオが考えられる。
データ・アズ・ア・サービス(DaaS)「Workday ベンチマーキング」
「Workday ベンチマーキング」は、分析・活用のために必要な専門特化したデータを提供するデータ・アズ・ア・サービス(DaaS)だ。ユーザー企業がオプトインによって興味がある分野を選択することで、ユーザー企業のデータが非特定化され、他社にも参照可能となるとともに、他社との比較状況などがダッシュボードで把握できる。提供するベンチマークのカテゴリとしては、社員数、退職状況、新入社員などの社員データ、給与および福利厚生、組織の健全性などの企業データ、業務プロセスの有効性をはじめ、Workday自体の他社のログイン情報、システム利用率などの活用データなどとなる。
利用料は無料。現在のところ、利用者数は100社程度だが、法務部門などと調整のため待機中の企業も多いという。またこのサービスそのものが、Workdayのユーザーコミュニティの要請から生まれたものなので、今後は増えていくことが予想されるという。
WorkdayプラットフォームをPaaSとして公開
最後に、WorkdayのクラウドプラットフォームをPaaSとして公開するということも紹介された。APIとして提供されることで、ユーザーが拡張することや、固有のアプリケーションを構築することも可能になる。スマートフォンの中でのbotでの対話サービスなども可能になるという。
- ワークデイ :http://www.workday.com/jp/