日本人のもつ、多様性の価値を見出すこと
後半のセッションでは、「おもてなし・2020年のUXを考える」と題したパネルディスカッションとして、ロフトワーク代表の林千晶氏、日立製作所デザイン本部主管デザイナーの丸山幸伸氏、HCD-Net理事で千葉工業大学教授の山崎和彦氏、モデレーターにHCD-Net理事でコンセント代表の長谷川敦士氏が登壇した。
2000年にロフトワークを起業した林氏。デザインクリエイティブエージェンシーとして、地方名産品のデザインやデジタルファブリケーションなどを事例にあげた。
モノそのもののストーリーをいかに感じてもらうか。それをデザインに落としこんでいきます。伝統や歴史をよみがえらせるためにも、ストーリーとデザインが必要。デザイナーは、新しいものを作るのではなく、いまあるものに価値を付けたり価値を見出すためにメッセージの構築したりすることが大切
MITメディアラボ所長補佐としても取り組んでいる林氏は、MITで研究されているThe Atlas of Economic Compelexity(経済複雑性とGDPの関係についての論文)を紹介した。
同論文は、国が持ってる経済としての多様性や、プロダクトがもつ多様さの潜在性などの関係を導き出している。統計の結果、国が持っているプロダクトの複雑性や、生み出すものの複雑性とGDPの関係では日本は高い位置にあるという。
人種という指標では、日本はまだまだ多様性は少ないかもしれませんが、社会の中に埋め込められた知識などの多様性は日本は高い。ひとり一人が持っているものを、どう次につなげていくべきか。自分たちの国が持っている強みをどう自覚していくかが重要