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日本人としての「デザイン思考/HCD」の本質

渡邉康太郎、他/HCD-Netフォーラム2014 パネルレポート

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消費的なサービスから、ユーザー体験としてのおもてなしへ

 社会インフラのデザインを手がける丸山氏は、将来の潮流を理解し、その未来洞察によって社会変化を捉え、生活者目線で解決していき持続可能な都市生活のあり方を考える「25のきざし」に関わっている。

2025年の日本における人の課題「25のきざし」▲写真 2025年の日本における人の課題「25のきざし」

フリー経済などの考え方が浸透し、サービスが当たり前という感覚になってくると、対価に不釣り合いなものを要求する消費者がでてくるかもしれません。おもてなしというデザインを考えた時、要求の高度化と提供努力が不均衡を起こす「サービスの限界」という課題が見えてきます。こうした仮説課題をもとに、ビジネスモデルやおもてなしという考え方を、どうデザインに落としこむかを改めて考えないといけません

 山崎氏は、おもてなしの語源を考えると、「お」は美化語、「もて」は強調の意とし、「もちて」が「もて」となったもの、「なす」は「そのようにする」 、つまり、その人がなったら嬉しいことやなりたいものを強調しているのでは、と指摘。コンテキストに応じて、個人が必要とするものに対して細やかに対応する体験や、ハイコンテクスト文化を背景にした体験などがポイントであり、日本型のユーザー体験の1つではと語る。

おもてなしの語源▲写真 おもてなしの語源

リチャード・サッパーは、デザインは文化と語っていました。社会や都市と呼応し、提案し実践していくことこそがデザインであり、それによって文化が生まれてきます。デザインの体幹は、観察や発想、表現をもとに他者とのコミュニケーションや創造的なコラボレーションを生み出すものなのではないでしょうか

おもてなしのためには、双方とのコミュニケーションが必要

 パネルディスカッションでは、おもてなしをどうデザイン視点で捉えるか、という議論となった。丸山氏は、ホスピタリティやおもてなしは語彙に多少の違いがあり、それらを同一してはいけないと指摘する。

おもてなしという言葉は、とても日本的。だからこそ、UXDやホスピタリティなどさまざまな言われ方をすべて混ぜてしまうのはよくない (丸山氏)

 林氏は、「自分らしさと来た人との出会いによってなす」ことなのでは、という。

提供者がなにかをやってあげるのではなく、来た人に何かをやらせるのでもなく、双方のコミュニケーションを通じてなされるものやそのあり方。そこにあるデザインがおもてなし。それらの、他者とのコミュニケーションを環境によってどう作り出すか。そのための場が必要 (林氏)

 オリンピックに向け、日本が注目されるからこそ、日本がもつ伝統的な考え方をどう現代や将来のデザインに落としこむか。日本を世界に発信する機会と捉え、企業や個人それぞれがデザイン思考をもとにした行動が求められる。

●イベント概要●
イベント名:HCD-Netフォーラム2014
主催:特定非営利活動法人・人間中心設計推進機構

基調パネルディスカッション1:「これからのHCD/UXD」
パネラー:

  • 渡邊 康太郎氏(takram design engineeringディレクター)
  • 外山 雅暁氏(特許庁総務部国際協力課意匠政策班班長課長補佐)
  • 松原 幸行氏(HCD-Net理事・キヤノン研究員)
  • 安藤 昌也氏(HCD-Net理事・千葉工業大学准教授)

基調パネルディスカッション2:「おもてなし-2020年のUXを考える」
パネラー:

  • 林 千晶氏(ロフトワーク代表)
  • 丸山 幸伸氏(日立製作所 デザイン本部 主管デザイナー)
  • 長谷川 敦士氏 (HCD-Net理事・コンセント代表)
  • 山崎 和彦氏(HCD-Net理事・千葉工業大学教授)

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