アクセンチュアグループのデジタル化支援企業のアイ- エム- ジェイ(以下IMJ)は、日本企業でNPSがどの程度導入されているのか、どのような活用をされているのか実態を把握すべく調査を実施した。
NPS(Net Promotor Score)とは、ロイヤルティマーケティングの権威であるフレッド- ライクヘルド氏が提唱している、顧客との関係性(カスタマーロイヤルティ)を測る指標。
2016年11月の前回調査と比べて、日本企業におけるNPSの導入はわずかながら増え、約10%となっている。依然として顧客満足度を指標としている企業の方が多いものの、顧客満足度の割合はやや減少しており、顧客満足度の代わりにNPSを導入するという企業が増えてきているという。
NPSの効果を感じている回答者は約8割と多く、NPS導入による変化として「顧客の声を聴く文化ができた」との回答が多く見られた。この文化の醸成は顧客ロイヤルティ向上の取り組みの基盤となるため、とても重要とIMJは考えるという。
また、調査結果からは、NPSの効果実感には分析内容や組織体制にもポイントがある様子がうかがえた。一方、NPS活用において課題を抱えている回答者も多く、調査設計や分析について、組織体制や社内の理解不足などさまざまな課題の声が上がった。どのようなNPSの活用方法が適しているのか模索しながらも、顧客ロイヤルティに対して高い意識を持ち取り組んでいる企業が多い。
調査概要
- 調査方法 : インターネットリサーチ
- 調査地域 : 全国
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調査対象 : [事前調査]20歳以上の顧客戦略- 自社のマーケティングに携わる有職者
[本調査] NPSを指標として導入している方
※調査会社が保有している調査パネル -
有効回答数 : [事前調査]6,420サンプル
[本調査] 297サンプル -
調査日時 : [事前調査]2018年4月16日(月)~4月17日(火)
[本調査] 2018年4月18日(水)~4月19日(木)
※「顧客との関係性を測る指標の導入状況調査」(2016年11月調査)はこちら
調査結果
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日本企業のNPS導入は約10%
複数の顧客接点(商品、サービス、店舗、WEBサイト、コールセンターなど)を通じて、顧客との関係性強化を図るための共通指標を設けているか尋ねたところ、2016年11月時点に比べ「NPS」との回答がわずかではあるが、やや高まり10.1%となり、「顧客満足度」との回答が下がっている。 -
NPS導入が進んでいる業種は「エネルギー」「趣味- 娯楽」「医薬- 医療」
業種別にNPSを指標として導入している割合を見ると、「電気- ガス- 水道- 鉱業- エネルギー」が最も導入している割合が高く(19.6%)、次いで「趣味- 娯楽- 遊技施設」(17.6%)、「医薬- 医療/介護用機器」(16.8%)が高い。 -
約8割がNPSの効果実感
NPS導入による効果を尋ねたところ、約8割が「効果があった」「やや効果があった」と回答しており、さらにNPS導入によって「顧客の声を聴く文化ができた」(85.4%)、「複数部署をまたいだ共通指標ができた」(79.4%)、「PDCAを回す体制が整った」(78.5%)という変化を感じている。
ただ、「顧客の声を聴く文化ができた」との回答は効果を感じていない層でも多いことから、文化ができたことを効果ととらえていないことが読み取れる。この「顧客の声を聴く文化」が定着することは、顧客ロイヤルティ向上のために非常に重要なことの一つであるが、顧客の声を聴いた後に何をするのか、それが売上などの結果としてどうなったのかが数字として見えないことには効果と受け止められないようだ。
※その他の詳しい調査結果はこちら