「エクスポネンシャル思考のフレームワーク」とは、文系人材にこそ必要な武器となる「テクノロジー俯瞰力」

第2回

 残念ながら、我々は今、“テクノロジー後進国”に生きています。しかし、さらなる下落を予測されている日本と、勢いよく伸びている米中欧を比べると、この表現はまだまだ控えめであるともいえるでしょう。プライドを完全に捨てされば、次にとる一手は見えてきます。この時代に生きるのであれば、ぜひ傍観し現状に文句を言うだけのオブザーバーではなく、自ら未来を創り、未来を積極的に作っていくイノベーターになるべきです。誰しもが積極果敢にゲームチェンジを仕掛けるべきでしょう。そのための考え方が、本連載で解説する「エクスポネンシャル思考」なのです。今回はいよいよ、そのエクスポネンシャル思考を解説していきます。

[公開日]

[著] 齋藤 和紀

[タグ] IoT AI・機械学習 ロボット ワークスタイル 事業開発 シンギュラリティ エクスポネンシャル思考 イノベーターマインド ムーンショット構想力

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政府が認めた“技術後進国日本”──現状を認め傍観者でいるのを止め、変化を起こす側にまわる

 先日、2018年版の科学技術白書*1が政府により閣議決定されました。その中では、学術論文数や研究開発投資額などのあらゆる指標が欧米や中国に対して大きく見劣りしていること。イノベーションを生み出す基盤力が急激に弱まり、次代を担う若手研究者の確保が困難であることが政府により公式に認められました。現状認識としては正しいでしょう。今こそ、プライドを捨てて認めるべきです。もはや日本は、技術イノベーションにおける完全な後進国だと。大国に虐げられて貪り食われるだけの底辺へ落ちていく道を確実に歩んでいると。

 エクスポネンシャルとは直訳すると、倍々に進んでいく「指数関数的」という意味です。指数関数の成長のグラフを時系列に対して見てみると、そのカーブは直線的(リニア)な成長と比べて、急上昇を描くのがわかります。地球上のあらゆる事象、特に情報テクノロジーはわかりやすいのですが、このエクスポネンシャルなカーブにのって成長していることは前回説明しました。

 エクスポネンシャルな倍々で進むスピードを説明するには、試しに手元にある紙を折り曲げてみるとわかります。どんな紙でも二つ折りにしてくと7回目くらいで限界が来ます。一枚では0.1mmの厚さの紙がその時点で既に1cmの新書ほどの厚さになっているからです。仮に9回目まで折るとその厚みは辞書ほどになります。どんなに大きい紙を用意しても物理的にもこの辺が限界でしょう。もしさらに30回折ろうとするとその厚みは100kmにも達するのです。

 生きる我々の「人生の意義」を考えた際に、かつてなく激動の時代にいるのは間違いありません。もし仮にシンギュラリティが起きるのだとすると、我々は現生人類最後の世代となる可能性ですらあります。この時代に生きるのであれば、是非傍観するだけのオブザーバーではなく、自ら未来を創り、良いシンギュラリティを積極的に起こす側にたつイノベーターになるべきでしょう。そのための教養として、エクスポネンシャル・テクノロジーを俯瞰する力が必要です。「バカげたアイディア」だと感じたとしても、テクノロジー全体を俯瞰してみると見方が変わります。エクスポネンシャルな進化の中では意外と実現できる可能性があるのです。ですから、「だから日本はだめだ」という議論はもう一切捨て、少しでも可能性があればすべてやってみることが必要。今こそ行動に移るべき時です。

*1: http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpaa201801/1398098.htm

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