音声UIで顧客体験を向上させるために必要な3つのポイント
スキル(音声UIを利用した機能)開発のハードルが下がっているからこそ、優れた顧客体験設計を考えていくことが必要だと高田氏は語る。なぜなら、スマホのアプリの状況を見てもわかるように、スキルは今後爆発的に増え、そこで優位にたつことは難しくなると予想されるからだ。では、何が音声UIを利用して顧客体験をあげるポイントになるのだろうか。
電通デジタルとビービットが、自身が関わるプロジェクトの中で見出した、音声UIを利用した顧客体験を向上させるポイントは次の3つである。
- 音声を使うことが効果的になる部分で使うこと
- 音声UIと他デバイスを連携させること
- ブランド/サービスに合わせてキャラクターを設計すること
まず、音声を使うことが適切である場合とそうではない場合を見極めることが大事だ。例えば、冒頭にあげたスターバックスの事例は、適切な事例だ。スターバックスはミルクを豆乳に変えたり、ホイップを増減させたりとカスタマイズができることがセールスポイントの一つである。しかし、人気店ゆえに混雑することが課題だった。一方、常連は、ほぼいつも同じオーダーをするということがわかっていた。そこで再注文に特化したサービスにし、店舗の課題の解決と顧客の利便性の最大化を達成している。
これがもし、音声UIでも店頭と同じような注文が必要だった場合、非常にややこしい指示が必要となってしまう。それでは音声UIには向かないため、定着はしないだろうと小浪氏は指摘する。例えばグルメ検索が音声UIで行えたとして「新橋の焼肉屋を教えてほしい」と指示をしても、写真を見ないとおいしそうかどうかは判断できず、店舗を選べないといったこともある。こういった、音声UIの向き不向きを、事業の課題などと考え合わせつつ、見極めていくことが大事だ。
また、音声UIと他デバイスを連携させていくことも重要である。例えば、アレクサにAmazonで以前に購入したものと同じシャンプーを買いたいと指示したとする。アレクサはきちんと復唱してくれるが、やはり容量やブランドを間違っていないかと心配になる。Amazonはそんな消費者の心配を見越してメールで注文内容の詳細を送っている。
このようにスマホなど、人々が慣れ親しんだ他デバイスとの連携を考えて顧客体験を考えていくが重要だと泰良氏は伝える。