画像認識技術のイノベーションによる“機械の目”の導入、“自動化”による小売変革とは?
トライアルホールディングスグループは、食品や衣料品を安価で提供するスーパー「トライアル」を、九州を中心に全国200店舗近く展開している。同社は店舗内に600台のAIカメラを設置し、顧客の動きや商品の動向をリアルタイムで観測しながら品出しや在庫管理を行っている。
画像処理や画像認識システムは、ここ20年間で飛躍的な発展を遂げてきた。10年前はコンピュータビジョンの専門家であっても、犬と猫を自動識別させることは不可能だと考えられてきたが、今はディープラーニングを活用すれば99パーセントの精度で、これらを分類することができる。
「10年前には顔認識をするエンジンを作るためのサーバも、1億円くらいしていましたが、今では誰もがスマホの無料アプリを使って即座に顔写真を識別し、肌の部分を美肌に加工できる時代になりました。そして、画像で認識できる対象も、どんどん広がっています。しかし小売業の店舗に設置されているカメラは、いまだに人間がバックヤードなどで見ています。我々が目指しているゴールは、お店に入っているカメラに“機械の目”をつけることによって、さまざまなオペレーションを自動化していくことです」
松下 伸行 氏(株式会社トライアルホールディングスグループCTO)
1998年慶応義塾大学修了後、SONY入社。Cyber-shot、Xperiaの戦略、研究、開発に従事。ベンチャーで事業立ち上げを経験し、2016年より現職。AIによる流通革命プロジェクトに従事。2002年 情報処理学会山下記念研究賞、2008年SONY MVP受賞。工学博士。