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MITヒダルゴ氏がビッグデータから明らかにした、企業を成長させる「知識」の移動とは?

Sansan Innovation Project 2019セミナーレポート Vol.2

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 日本は今後経済発展をしていけるのだろうか。そう考える読者も多いだろう。それを考える鍵となるのが、「経済複雑性指標(ECI)」である。これはGDPに変わる新たな指標として注目を集め、各国の経済成長の予測手法としても用いることができるものだという。3月15日に行われた「Sansan Innovation Project 2019」では、その「経済複雑性指標(ECI)」を考案・提唱している研究者のひとり、マサチューセッツ工科大学(MIT)准教授セザー・ヒダルゴ氏が講演した。経済発展を支える「知識」とそのあり方、活用の仕方を論じた講演の内容を紹介する。

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ノーベル経済学賞受賞者が実証した、経済発展に必要な「知識」の特性

 ヒダルゴ氏が提唱している「経済複雑性指標」では1984年からずっと、日本が世界第1位を維持し続けている。その「経済複雑性指標」を理解するには、前提として「知識」を理解することが必要である。ヒダルゴ氏の講演は、その「知識」というものの特性の説明から始まった。

 長年の間、経済発展に「知識」が必要だということは、直感的にはわかっていた。しかし、なぜ「知識」が必要であり、資本や労働力と「知識」がどう異なるのかは、実証的に研究されてはいなかった。2018年にノーベル経済学賞を受賞したポール・ローマー氏は、それを実証した。

 ローマー氏の提唱した「内生的成長理論」では、R&Dなどで得たり生み出されたりする「知識」が、最終的な商品やサービスなどのアウトプットを生み出すために活用され、「知識」の増加によってイノベーションが生まれてアウトプットの生産性を向上させることが明らかになった。「知識」は共有することが可能なので、「知識」の投入量を2倍にすればアウトプットは2倍“以上”になるということが説明されたのだ。

 ここでヒダルゴ氏が指摘したのは、ローマー氏が「『知識』というものが競合性のないものである」と明らかにしたことである。

 「知識」は無限に共有することができ、「知識」を持った人はそれを使うことができる。誰かが持っている「知識」を別の人に共有して、その人がその「知識」を使ったとしても、元の「知識」の持ち主も変わらずその「知識」を活用できる。

 また、「知識」には明示的なものと暗黙的なものがある。書籍や動画、話をすることで共有できるものは明示的なものだと言えるが、バスケットボールをすることのように実践が必要なものもある。ビジネスでは多くの暗黙的知識を必要とする。つまり「『知識』は人の中にある」と言える。

 「知識」というものは、ピアノを弾けることと、バスケットボールができることという「知識」を「『知識』が2つある」と足し算することはできないという特性もある。重複する部分や保管する部分、相反する部分、過剰な部分もあるからだ。そして、「知識」は単に所有するものではなく、それを持っている人やグループと密接に結びつき、関連性を持っている。

 こういった「知識」の特性を踏まえ、測定する尺度を考えたのが「経済複雑性指標」である。

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