企業が「知識」を活用して成長し続けるためにすべきことは?
Sansanの取り組みと類似する研究を、ヒダルゴ氏らは数年前にブラジルで行なった。5千万人以上の労働者について、ソーシャルセキュリティーカードの情報を活用し、個々の人々がどこで働き、その産業のどんな職業についているのか、どのように転職をするかどうか可視化したのだ。そのなかでヒダルゴ氏らが注目したのは、その地域において草分け的な存在の企業の転職者の採用とその企業の生存率の関係である。
ヒダルゴ氏は、業界と業種につき、転職の前後で違いがあったかを確認した。例えば同じ営業部だけれどもアパレル企業からソフトウェア企業に転職する人もいれば、アパレル企業の中で営業部から企画部に業種を変えて転職する人もいる。その違いと、企業の存続率の関係を調べたのだ。この研究の結果、生き残ったのは同じ業界内で人を探した企業だったとわかった。人を採用する際に、企業を存続させたいのであれば、すでに業界の「知識」を持つ人のほうが良いのである。