SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

Biz/Zineセミナーレポート

チャイナ・イノベーションの実像──DXでリードする中国の背景と戦略、日本企業が学ぶべきこと

Biz/Zine Dayセミナーレポート Vol.1:株式会社野村総合研究所 李智慧氏

  • Facebook
  • X
  • Pocket

 世界と比較して、デジタル・トランスフォーメーション(以下、DX)が遅れているとされる日本企業。手をこまねいているうちに世界は次々と経営変革を遂げている。6月20日に行なわれたBiz/Zine Day 2019 Summerの基調講演では、株式会社野村総合研究所 未来創発センター グローバル産業・経営研究室 上級コンサルタントの李 智慧氏が「チャイナ・イノベーションの実像~DXでリードする中国の戦略と背景」と題し、急速にDXが進む中国のデジタルイノベーションとそれをもたらす社会的メカニズムを紹介。日本企業への応用実践に関する多彩な示唆を提供した。その内容を紹介する。

  • Facebook
  • X
  • Pocket

約8億3000万IDの巨大市場と国の後押しが大きな動力に

 中国のデジタル経済成長が顕著だ。その背景にあるのが、消費分野と産業分野の両面において急速に進むデジタル活用であり、DXだ。李氏は「中国でのデジタル活用は生活面でも、産業面でも急速に普及している。しかし、それは決して前触れなく起きたものではない」と語る。

 実際、現在の中国ではスマートフォンのアプリ経由で、病院の予約から出前の依頼、公共交通や料金所、駐車場などに至るまで、様々なサービスが受けられ、デジタル決済が可能だ。さらにそこで蓄積されたビッグデータから個人の信用情報が生まれ、シェアバイクやシェアカーなどのシェアリングエコノミーも急速に普及している。そして、個人の生活のみだけでなく、産業領域のデジタル化・スマート化も加速している。

 こうした中国におけるデジタル変革の原動力となっているのが、「膨大なネットユーザーの存在とそれが生み出す巨大市場」だ。中国インターネットの利用者数は年々増加し、8億2851万人を突破している。とりわけモバイルによるネット利用が増え、現在では98.6%を占める。つまり、約8億1700万人が毎日スマートフォンを通じて、何らかのサービスを利用しようとしているアクティブユーザーが存在するというわけだ。

タイトル

 そうした旺盛なユーザーに対して、提供されるモバイルアプリは449万タイトルもあり、生活サービスに密着したものがほとんどだ。人々がそれらを活用することで生活のデジタル化、キャッシュレス化が進み、ビッグデータの蓄積がさらに加速されることとなった。

 そして中国の特徴としてユニークなのが、オンラインだけでなくオフラインにまで浸透したことだろう。都市部におけるリアル店舗のモバイルによる決済シェアは2018年6月時点で68%にものぼり、さらに農村地域でも57%と非常に高い。そして、モバイル決済の実店舗への浸透は、ビッグデータの蓄積をさらに加速させていくことになる。

 そしてもう一つ、急速にモバイル決済が普及した背景には、国の政策面での後押しが非常に大きいという。2014~15年あたりから国の各部門でビッグデータ戦略に関する政策が増えてきた。そして、身分証明書という個人認証基盤を整備した。政府が保有するビッグデータの民間での活用には寛容であり、それが中国で顔認証が世界に先行する一因にもなった。

 さらに政府主導で計画的なイノベーション都市の整備が進んでおり、そこには普通の自動車が入れないなどの制約を設け、電気自動車や自動運転など最先端の実験が行なわれている。そこでの実証実験はは、新たな先端サービスの開発・改善に役立てられているという。そうした社会実装が可能な環境も、最先端ビジネスが生まれる理由の一つといえるだろう。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
緩やかな規制環境と起業に意欲的な若い世代のパワー

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
Biz/Zineセミナーレポート連載記事一覧

もっと読む

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • Facebook
  • X
  • Pocket

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング