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いまシナリオ・プランニングが必要な理由 

『シナリオ・プランニング―未来を描き、創造する』

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未来はいつも、予想外の展開を見せます。そうした予想もつかない未来に対処するための方法が、今回取り上げるシナリオプランニングです。本書は、未来を予測するのではなく、想定外の未来に向かってイノベーションを起こしていく未来創造型のシナリオプランニングのプロセスについて紹介しています。先が見えない時代こそ、こうした未来志向のイノベーションプロセスが求められるのです。

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確実性と将来性のトレードオフの壁を越えるには?

 企業の新規事業のコンサルティングをするなかでいつも突き当たる壁が、「確実性と将来性のトレードオフ」の問題です。

 社内での新規事業提案において、確実性を重視して低リスクの事業を企画すると、どうしても“こじんまり”とした事業案になります。一千億円規模の事業をしている会社の経営陣としては、数億円の事業企画を検討する暇はありません。

 一方、将来性のある事業を提案していると、「そんな未来のことは分からない」と一笑に付されます。もっと確度の高い提案をしろと言われ、“にっちもさっちも”いかなくなる。そうした場面をよく見てきました。

 こうした問題を解決するには、結局、現在の確実性と、未来における将来性の両方を同時に見せる必要があります。「小さな事業でも、将来はこんなに大きくなる。その布石としての事業です」と言うことで、説得力が増すのです。

 未来と現在の両方をみるやり方は、事業の企画立案プロセスにもプラスに働きます。事業の本当の意味というのは、「未来からのバックキャスト」でしか見えてこないからです。

 よく例にあげるのが、AppleがiMacを出したときのことです。多くの人はあのカラフルな筐体のデザイン性に目を奪われていましたが、ジョブズは(iMacのiが象徴していたように)インターネット接続のしやすさを強調し、またその後のiBookでは、いち早く無線LANの標準搭載を行いました。その後のネット環境を考えれば当然の措置ですが、当時その意味をつかんでいた人は多くないでしょう。ジョブズが見ていたのは、あらゆるコンテンツがネットを通じてデジタル流通する未来でした。

 未来の姿からバックキャストして企画された新規事業には、説得力が宿ります。ただ、その前提となるのが、「未来の姿の適切な設定」です。適切な未来の姿が描けなければ、そこからのバックキャストもままなりません。

 バックキャストをするのに適切な未来とはいったいどんなものなのか。どんな未来を描けば、優れた事業案が生まれるのか。その問いの答えを探して私がたどり着いたのが、「シナリオ・プランニング」でした。

 今回ご紹介する書籍『シナリオ・プランニング―未来を描き、創造する』には、バックキャストするのに適切な未来を考える充分なヒントが多く散りばめられています。では、詳しくみていきましょう。

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“不都合な未来”にこそ目を向けるべき

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この記事の著者

小山 龍介(コヤマ リュウスケ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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