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『ファーストマイル』は“アイデア実行”の地図

書評『ファーストマイル』(著:スコット・D・アンソニー)

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 どんな新規事業も最初はアイデアに過ぎない。そして、形にならずアイデアのまま一生を終える事業が大半である。実際、成功した起業家に成功した理由を尋ねてみても優れたアイデアに勝因があると答えるのは12%に過ぎない。どの企業も「イノベーション」を掲げているものの、新しく立ち上がった事業が少ない理由の一つには、アイデアを実際に「やってみる」回数が少ないことが挙げられる。もう一つの理由は、アイデアを事業へと「やってみる」やり方が間違っているためである。クリステンセン教授愛弟子のスコット・アンソニー氏の『ザ・ファーストマイル』は新規事業を「やってみる」時のやり方やどこから手を付けるべきかを指南してくれる、「実行を支援する本」である。

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最大の悩みは「いつ行動に移すのか?」

 イノベーションは最初、「アイデア」から始まります。顧客のニーズに関すること、技術的なシーズなどの様々な「着想」から始まりますが、そこからが問題です。

「いつ行動に移すのか?」

 飛行機であれば、離陸できる速度まで加速すれば自然に機体が浮き上がりますが、新規ビジネスではそうはいきません。実は私たちが受ける相談の多くが「いつ行動に移したらよいのか?」というものです。

 その一歩を踏み出すべきタイミングはどう測ればよいでしょうか?

 単に「勇気を出せ」というのは乱暴です。むしろ新規事業の成功率を考慮すれば、無謀と言っても良いかもしれません。逆に、机上での検討に対象するための「数多くの本」が出回るようにはなりましたが、これだけをやっていても限界があります。机上のアイデアから現実世界における最初の一歩を慎重かつ自信を持って踏み出すための本、それが今回紹介する『ザ・ファーストマイル』です。

革新的なアイデアは「部分的に正しく、部分的に間違っている」

 どのような優れたビジネスアイデアも「部分的に正しく、部分的に間違っている」と、著者のスコット・アンソニー氏は言います。未来のビジネスのことですから、調査を尽したとしても、仮説である以上残る「不確実性」の存在があります。

 調査に調査を重ねて着手する前に、他の企業が市場を奪ってしまったというような失敗は数多くあることを考えると、不確実性が低すぎるのもよくありません。反対に無計画で事業を始めるのも無茶なアプローチだということは誰しも感じているのではないでしょうか。イノベーションの「ファーストマイル」、すなわち単なるアイデアが実現に向けて動き出す初動時期においては、「不確実性をコントロール」することが不可欠になります。

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試行錯誤の中でも「コントロール」すべきこと

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この記事の著者

津田 真吾(ツダ シンゴ)

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