「千人計画」「万人計画」で国内外からトップ頭脳を集結させる
では、中国は〔2025〕をどのようにして達成しようとしているのだろうか? 見逃してならないのは、中国政府による「人材の獲得」である。
中国は、1996年の第9次5カ年計画から全世界で活躍する中国人元留学生(留学人員)と中央政府を結びつけて、「中国全球人材信息網」という、地球を覆う巨大な人材ネットワークを形成している。特にアメリカのシリコンバレーにいる中国人元博士たちで、大企業に就職したり自ら起業したりして、重要なコア技術を持っている者を呼び寄せて中国各地に「留学人員創業パーク」を創っていた。
胡錦濤政権時代に入ると、2008年からは「千人計画」、2012年からは「万人計画」を立ち上げて、外国人を含めた世界トップ人材のヘッドハンティングを始めている。この計画は次世代を担う若き研究者たちを養成するために、大学や研究所に世界のトップ頭脳を派遣するのが主たる目的だ。
注目すべきは、帰国留学人員の数は、改革開放以来の累計が2017年度統計で313万2000人であるのに対して、第18回党大会(2012年11月)以降に帰国した留学人員の数は231万3600人に達するという事実だ。習近平政権になってから帰国した留学人員の数が、40年間のうちの73.87%を占めていることから、いかに習近平がコア技術を緊急に高めようとしているか、その緊迫性がうかがえる。
半導体市場調査会社IC Insights(米)が2018年2月25日に発表したリポートによると、2009年の時点では、ファブレス(※工場を持たない)半導体企業の世界トップ50に1社しか入っていなかった中国が、2016年になると11社にまで増え、しかも2017年にはトップ10に2社も入っている。2018年には華為(ホァーウェイ:Hua-wei)傘下の半導体メーカー海思(ハイスー:Hisilicon、以下、ハイシリコン)社が、Appleに次ぐ世界第2位に躍り出た。ハイシリコンは世界で最も速い通信用チップを世界で最初に創り出し、関連業界に衝撃を与えている。