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CVCの基礎と成功戦略

CVC検討時に持つべき「事業会社視点」と「キャピタリスト視点」──事業会社に必要なコンセプトとは?

第2回

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 前回は、CVCについて考える土台として、投資や株式についての基礎的な考え方を共有させていただきました。なんとなくは知っているようで、本質的なところまで考えたことが無かった方も多かったのではないでしょうか。それぞれ、掘り下げると1冊の本になるぐらい、奥深いトピックです。さて、今回は「CVCとはなにか」ということについて、考察してみたいと思います。もし読者の方がCVCの立ち上げを考えているとすれば、最初に定義すべき、重要なテーマであり、すべてはここから始まると考えています。

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CVCの本質を知るためにまずVCを知る。ファンド出資構成によるVCの分類

 CVCは「コーポレートベンチャーキャピタル」という名前からわかるように、VC(ベンチャーキャピタル)から派生した業態です。その本質を理解するために、まずはVCをよく知るところから始めたいと思います。

 VCの事業活動は、投資をするための資金を集める「資金調達活動」と、集めた資金を投資運用して収益を上げる「投資運用活動」に大きく分けられます。

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 まず、前者の資金調達活動は、資金調達先とそのファンド(調達した資金の総称)の出資構成により、3タイプのVCがあることがわかります。

 1つ目は、1社または1人の投資家が、そのファンドすべての資金を出資する形態で、生損保、銀行などの金融機関や大手事業会社、大口個人投資家(いわゆるファミリーオフィス)など、多額の資産を持つ法人・個人が、自身のVCを設立するようなケースです。出資者の意向を反映させやすいので、この形態をとるCVCも多いようです。

 2つ目は、複数の投資家から小口で資金を集める形態で、主に独立系のVCが資金を集めるようなケースになります。出資者は、金融機関、事業法人、個人投資家など、一般的な投資家が中心となります。ベンチャー企業への投資は、出資者と運用者の情報格差が大きい運用手法であるため、不特定多数の一般投資家から資金を集める場合、投資家保護の観点からより厳しい法的規制がかかります。また、一般投資家は運用益目的で出資するため、この形態のVCは運用益確保を目的とすることがほとんどです。

 3つ目は、1つ目と2つ目のハイブリッド型で、メインスポンサーとなる大口投資家と、それ以外の複数の小口一般投資家で構成される形態です。この形態をとるVCには、最初の募集は大口投資家のみでスタート(一つ目のケース)して、運用実績を積んだ後、外部の一般投資家からの出資を集め、運用資金を大きくしていくような事例があります。この場合も一般投資家が存在するため、運用益確保が第一の目的となりますが、大口投資家の意向をある程度反映させるケースもあります。

 このように分類すると、VCの活動目的とその資金調達方法が大きく関係しており、CVCを作りやすいのは、大口出資者の意向が反映できる1つ目の形態であることがわかります。

 以下は、それぞれの形態の主要な日本のVCになります。

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この記事の著者

戸祭 陽介(トマツリ ヨウスケ)

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