21世紀型のデザインは“人々”を目標とする
増村:何を対象とするかによって、デザイン思考は四象限へと分類できることをまずは理解したいですね。
安西:それぞれに適した領域があるにもかかわらず、「デザイン思考は機能しない」と一面的に捉えてしまうのは、不毛な議論だと考えています。ただ、その不毛な議論を越え、あえてデザインへの立ち向かい方を批判的に語るとすれば、ベルガンティが指摘するように、これまでの多くのデザイン論議はいわば“20世紀型のデザイン”であり、人間中心主義と言いながらビジネスとテクノロジーに奉仕するものだったわけです。つまり、ハードウェアやプロダクト、ビジネスをより良くするのがデザインの役割で、その延長線上に課題解決的なアプローチがあった。