インタビュー デザイン・アート・ビジネスのトライアド

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NTTデータが「アートシンキングWS」を導入した意図──“要件定義型”から“社会ビジョン型”への変容

ゲスト:株式会社NTTデータ 公共・社会基盤事業推進部 社会デザイン推進室 福田 健一氏、古澤 暁子氏

 「デザインとアートがビジネスにどのような影響を与えるのか」をテーマに、識者との対談により明らかにする本連載。今回は、NTTデータ 公共・社会基盤事業推進部 社会デザイン推進室の古澤 暁子氏、福田 健一氏をゲストに迎え、社会課題解決に向けた事業開発や市場創造などにおいて生じている課題、そしてソリューションとしてのアートシンキングについて語り合った。後半では、2019年よりアート・アンド・ロジック株式会社の増村 岳史氏が講師を務める「アートシンキングワークショップ(WS)」を社内に導入した経緯や効果についても伺った。

[公開日]

[語り手] 福田 健一 古澤 暁子 [聞] 増村 岳史 [取材・構成] 伊藤 真美 [写] 長谷川 梓 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] 事業開発 社会課題解決 バックキャスティング アート思考 社会ビジョン

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未来から事業を考える、「0→1」の能力が求められる時代

増村 岳史氏(アート・アンド・ロジック株式会社 代表、以下敬称略):アートシンキングに興味を持たれたのは、そもそもどのようなご経緯だったのでしょうか。まずお二人の所属されているNTTデータの社会デザイン推進部についてご紹介いただけますか。

福田 健一氏(株式会社NTTデータ 公共・社会基盤事業推進部 社会デザイン推進室 課長、以下敬称略):もともとNTTデータは電電公社から分社したシステム会社で、企業理念にも、『情報技術で、新しい「しくみ」や「価値」を創造し、より豊かで調和のとれた社会の実現に貢献する。』とあるように、既存のシステム提案・構築だけでなく、新しい社会インフラシステムをつくり出してきました。特に社会課題が複雑化する中で、それを解決するための手法の1つとして「未来ビジョン」を描き、そこから事業をつくり出していきたいと考えています。その考えのもと、私たちが所属する公共・社会基盤事業推進部 社会デザイン推進室は2019年7月に新設されました。

福田 健一株式会社NTTデータ 公共・社会基盤事業推進部 社会デザイン推進室 課長 福田 健一氏

古澤 暁子氏(株式会社NTTデータ 公共・社会基盤事業推進部 社会デザイン推進室 課長、以下敬称略):社会デザイン推進室は「デジタル庁」などの官公庁や行政のデジタル化を担う機関、通信・インフラ系企業群などを主なクライアントとしています。社会課題から未来の社会像を描き、バックキャスティングで事業を創造し、企画提案をすることを主な取り組みに据えています。

古澤 暁子株式会社NTTデータ 公共・社会基盤事業推進部 社会デザイン推進室 課長 古澤 暁子氏

増村:未来の社会像を考え、事業を創造するという部門なのですね。そうした部門において、どのようなことに課題を感じられていらっしゃるのでしょうか。

福田:NTTデータの顧客企業もDXを積極的に推進しており、今までのようなSIとしての「事前に定義された要件」を「正確にITシステムに落とし組む」という発想とは別次元の、新たな価値提供が求められています。もはやITという切り口でソリューションを提供する価値はコモディティ化し、そもそもすべての企業が同じ課題に直面して同じように解決する時代でもなくなりました。その意味で、当社は解がはっきりしている課題に対して最適解を提供するという「10→100」の価値創造は得意ですが、新たな価値を創造するという「0→1」に踏み出すことがより求められるようになりました。そうした新たな価値創造のためのスキルやマインドを全社的に引き上げるためには、一人ひとりの考え方や価値観から変えていくことが必要と感じていました。

古澤:実は、別のアプローチによって、「社会の将来像を考える」という取り組み自体は進めていました。しかし、長年IT業界にいると技術先行で考えたり、お客様の今の立場に寄り添うばかりになったり、どうしても現在の事業から離れて考えたりすることができない状態にあることに気が付きました。そこで、既存の価値観や見方から脱却して、もっとフラットな目線、広い視野を持つことはできないかと考えました。そうした視点を得てこそ、現在見えていないモノが見えるのではないかと思ったのです。

福田:未来志向でのイノベーティブな提案が求められていることは、顧客インタビューや営業の最前線からのフィードバックで感じており、以前から課題感を持っていました。公共・社会基盤事業推進部 社会デザイン室は、企画面でこの取り組みを社内に広げるという役割を担っているわけです。

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