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ソフトバンク宮内社長やYahoo!共同創業者が語る、テクノロジーが変える「コミュニケーションの未来」

Communication Tech Conference 2019レポート

 第三次AIブームともいわれ、生活や仕事のあらゆる分野でAIの活用が進んでいる。特にコミュニケーション領域におけるテクノロジー進化の社会的影響は大きいと考えられながらも、具体的なビジネスにおける活用や課題については、まだ十分に議論されているとは言い難い。その課題感のもと2019年11月29日に開催されたモビルス株式会社、クオンタムリープ株式会社共催「Communication Tech Conference 2019」では、人間の根源的な営みである「テクノロジーとコミュニケーション」にフォーカスし、Yahoo!共同創業者のジェリー・ヤン氏、ソフトバンク株式会社代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮内 謙氏ら、日本・米国・中国からビジネス、アカデミック、スタートアップにおける各分野のトップランナーやスペシャリストが集結し、様々な提言・議論を行なった。その基調講演と特別講演のレポートをお届けする。

[公開日]

[講演者] ジェリー・ヤン 宮内 謙 出井 伸之 [取材・構成] 伊藤 真美 [写] 和久田 知博 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] IoT AI・機械学習 事業開発 企業戦略 5G

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Yahoo!共同創業者が語る、Techスタートアップに必要な「ビジョン設計」と注目する「ライフサイエンス」

 元ソニー社長であり、現在はクオンタムリープ株式会社代表取締役として日本とアジアのイノベーションを促進する出井伸之氏が開会挨拶に登壇。チャットボット「出井ボット」とのユーモラスな掛け合いから開始した。米国や中国での新たなプラットフォーマーの躍進に対して、日本から同等のプラットフォーマーが90年以降に登場していないことに憂慮を示した。そして、「今後のテクノロジーは国家のあり方や、資本主義・社会主義といった線引きまで変えていく可能性がある」と語り、「インターネット以上のパラダイム転換の可能性がある中で、今後の日本がどうあるべきか考えるヒントにしてほしい」とカンファレンス開催にあたっての願いを熱く語った。

出井伸之クオンタムリープ株式会社 代表取締役 出井 伸之氏

 続いては、Yahoo!共同創業者であり、AME Cloud Ventures Founding Partnerとして多くのテクノロジーアントレプレナーと協働するジェリー・ヤン氏が登壇し、「テクノロジートレンド:四半期の振り返りと、未来への観察」と題し、基調講演を行なった。

 台湾から移民として渡米し、インターネットが急速に普及していく中で1994年にYahoo!を立ち上げたことを紹介し、「アントレプレナーとして大変ラッキーだった」と振り返った。その中でも印象深い出会いとして1996年3月に孫正義氏率いるソフトバンクと協力してYahoo!Japanを1カ月で立ち上げたことをあげ、「日本のインターネット黎明期に立ち合えたことはこれ以上にない幸運だった」と評した。さらに1997年に中国への初訪問でアリババ起業前のジャック・マー氏がツアーガイドだったことなどにも触れ、「2人との出会いが、大きな幸運を運んでくれた」と感慨深く語った。

 そして、2010年にYahoo!を去ったヤン氏は、アントレプレナーからスタートアップの支援へとシフトしていく。モビリティやクラウド、ビッグデータ、AIなど次々と新たなテクノロジーが進化する中で、数々のベンチャーを世に送り出し、成長させてきた。その成功例としては、ビデオ会議ソリューションの「Zoom」などがある。。

 当時SkypeやGoogle Hangoutsなど数々のビデオ会議ソリューションが先行していたが、それでも成功した要因として、ヤン氏は「単にビデオ会議システムに終始するのではなく、働き方を変えることを信条として捉えたことにある」と語る。そして、「コミュニケーションテクノロジーを考える上で、重要なのはこうしたビジョン設計にある。単にすばらしいツールを提供するのではなく、『コミュニティをまとめる』『人々をつなぐ』といったことを考えることが大切」と強調した。

 そうした基準のもと、ヤン氏が投資してきた企業は、ロボティックスやブロックチェーンなど分野も多岐にわたり、150社以上に上る。その中でヤン氏が「非常に多くの驚きを生んでくれた」と評するのが、ライフサイエンスの分野だ。10年前ほどから「生物学×テクノロジー」の可能性に注目してきたというが、デジタル生物学や合成生物学、ジェノミクスなどの分野において、データとプラットフォームの活用による新たな薬品の発見など、様々な発見や価値が創出され続けているという。AIやビッグデータなどテクノロジーの活用によって、研究プロセスの効率改善はもちろん、遺伝子・DNA分析、植物由来の食肉の開発や3Dプリンタ技術の活用によるモノづくりなど、生物分野における様々なキーワードが紹介された。

ジェリー・ヤンYahoo!共同創業者/AME Cloud Ventures Founding Partner ジェリー・ヤン氏

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