テクノロジーの進化における「看過できない課題」と「日本の可能性」

　ヤン氏は「さらに世界は新たな時代へと変わりつつある」と語る。その象徴の１つが、米国や中国を中心とした超巨大企業の存在だ。それぞれが膨大なデータを保有するようになった結果、アプリやデータによる障壁を生み出し、国や地域によって法整備や仕様が異なるなど、分散化が進んでデータ連携は複雑性が増している。さらにAIの登場によって新たな価値が生まれると同時に、様々な課題も顕在化していく。知識や情報へのアクセスの仕方も変化し、進化の著しいロボティックスやディープラーニングなどで自動運転はもとより、「空飛ぶ車」などの制御も近いうちに実現するだろう。前述のような生物学、医学などにも大きな進歩がみられ、「この10年で私たちの想像を遥かに超えるような進化が実現することになる」とヤン氏は語る。

　そして「AIなどテクノロジーの進化で看過できない課題も多い」と指摘する。AIが労働者から仕事を奪うという懸念、軍事的なAI活用に対する不安など、様々な課題がある中で、何をどう制限して解決するのか、人間が考えなければならない。AIにどのようなアルゴリズムを配し、どのようなデータを学ばせるかで、当然ながら性質や反応も大きく変わってくるからだ。