CXこそがデジタルソリューションを利益に繋げるための鍵
これまで説明してきたエモーショナルCJMは、顧客の声を収集し、課題を抽出するものである。これを経営に活かすためには、課題を改善するための活動を行う必要がある。大日本印刷では、カスタマージャーニーの各タッチポイントに合わせて、様々なデジタルソリューションを提供している。
たとえば、カスタマージャーニーの初期の認知やブランドイメージを構築する段階では、「価値観DSP」というサービスを用意している。これは、顧客一人一人の価値観に沿った広告を配信し、効率的に興味喚起を行うサービスである。また、情報収集の段階では、昨秋からLINEを使った「LINEチラシ」というサービスを開始した。鮮度の高い情報提供による需要喚起を目的としている。
顧客が来店前に比較・検討する段階では、「DNPパーソナライズド動画」が利用できる。差別化を演出するための動画・ARコンテンツにより、比較検討体験をより良いものにする。大日本印刷は、顧客が街中にいる際にも使えるデジタルソリューションも用意している。店舗近くや入り口に顧客が来たときに、アプリに特売情報を出すといった、タイムリーな来店誘致を行える、ビーコンを活用したサービスである。
店内では、「スマートカート」や、「店頭接客用デバイス」といったデジタルソリューションで、店頭タブレット端末からのレコメンドによる新たな気づきを提供したり、接客スタッフからの最適な情報提供したりすることもできる。また、「デジタルシェルフ」を導入すれば、顧客が店内を回遊している時にデジタルPOPによる最適な一押しコンテンツを流すこともできる。「無人レジ電子決済」では、決済の利便性向上による機会損失リスクの低減を行える。また、こういったソリューションを円滑にデジタルマーケティングにつなげるためのサービスも多数用意されている。こういった様々なデジタルソリューションと顧客の課題解決を掛け合わせていくと、経営的に非常に効果的であると、金子氏は語る。
金子氏は、最後に
「様々なタッチポイントがあり、様々なデジタルソリューションがあります。どうやって使いこなせばロイヤルティ向上や利益につながっていくのかの鍵はCXにあります。すでにデジタルソリューションを導入している場合も、CXのスコアを確認することで、使い方を改善していくこともできます」
とCXMの重要性を述べ、講演を締めくくった。