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DNPが語る、顧客の心を掴む手法──リアル店舗のDXが可能にする顧客視点のCXMとは?

Biz/Zine Dayセミナーレポート Vol.4:大日本印刷 金子祐一氏

 人口減少やライフスタイルの多様化、ECサイトの隆盛等、店舗を取り巻く環境は大きく変化している。無人店舗をはじめとした業務効率化が進む一方で、顧客体験価値を高めることで顧客ロイヤルティを高めるCXM(カスタマーエクスペリエンス・マネジメント)が注目され、DX(デジタルトランスフォーメーション)と併用で効果を生んでいる。
 「店舗の顧客体験を中核とした、Retail Tech Innovation」をテーマに行われたBiz/Zine Day2020 winterでは、大日本印刷株式会社でCX視点でのDX導入・業務改善支援等に従事する金子祐一氏が「店舗CXを視える化。DXで顧客の心を掴む手法とは?」と題して講演を行った。その内容を紹介する。

[公開日]

[講演者] 金子 祐一 [取材・構成] フェリックス清香 [写] 和久田 知博 [編] 梶川 元貴(Biz/Zine編集部)

[タグ] 顧客体験 CX DX NPS 小売

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リアル店舗がCRM以上に重視すべきCXMとは?

 講演冒頭で金子氏は、小売業の取り巻く環境について3つの観点で整理した。1点目はいうまでもなく人口減少である。現在でも大都市に人口集中が起こり、地方都市の人口は減っている。また今後、日本では人口が急激に減っていく。業務の自動化が進むと予測される。

 2点目は顧客の特性が多様化していることが挙げられる。たとえば年収400万円以下世帯、単身世帯、介護家族、働く女性、在留外国人が増え、POSデータを確認しただけでは属性が予想できない状況が生まれている。再度の顧客理解が必要である。

 ネット通販の拡大の影響で、百貨店や大型総合スーパーが減少していることが3点目である。販売マージンが極端に低いEC事業者も誕生するなか、リアル店舗の強みを見直していく必要がある。

 こういった環境下で注目が集まっているのが、CXM(Customer Experience Management)。顧客に好ましい体験を提供することでリピート率を高め、顧客の囲い込みや離脱防止を行うのである。このように説明すると、CRM(Customer Relationship Management)を想起する方も多いかもしれないとした上で、金子氏はこれらの違いを説明した。

 CRMでは、購買履歴データを元に「ワインを買う人はステーキをよく買う」と分析し、ステーキ売り場に赤ワインを陳列したり、ステーキを手に取るとお買い得の赤ワインのクーポンを配信したりといった施策が打たれる。つまり、CRMは顧客単価向上や購買頻度を上げることが目的である。

 一方CXMは、購買履歴データからはわからない、顧客体験に対する感情データを扱う。リアル店舗での購入の場合であっても、顧客の感情が動くような顧客体験は、店舗内だけで完結するものではない。たとえば車の購入を考えた場合、家から店舗の試乗の予約をするということも考えられる。その際、試乗の予約がなかなか取れないと、その時点で顧客の感情に変化が起きる。また街中で、購入を検討していたA社ではなく、B社の販売店にふらりと立ち寄り、たまたま試乗した車が気に入るという、街中での体験もある。

 スーパーのような関与度の低い商品を扱う店舗の場合も、家でチラシを見て感情が動き、または街中で知り合いに噂を聞いて興味を持ち、いつものAスーパーではなく、Bスーパーに行くということも考えられる。たとえば「店員の態度が悪くレジも遅いが、家から近いし生鮮品の品揃えが良いからCスーパーに行く」などといった具合に、もちろん店内でも顧客は様々な感情の起伏を体験している。Webやアプリでのオウンドメディアや、コールセンターでの体験など、顧客と企業のタッチポイントは様々なところに存在する。

 顧客は企業とのタッチポイントで体験したこと全てを加味し、総合的な評価で判断する。それによって、リピートをするかしないか、購入をやめるかどうかを決める。つまり、CXMはロイヤルティの醸成を目的としているのである。

CRMとCXMの違い

 これを踏まえて金子氏は言う。

「上顧客が明日いなくなってしまうかもしれないということをCRMでは予測できません。一方、体験データ、感情データなどを確認するCXMでは、その予兆がきちんと掴めます」

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