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デロイト トーマツ グループ、「Tech Trends 2020 日本版」を発行 必須の7テーマ解説

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 デロイト トーマツ グループは、デロイト グローバルがまとめた最先端のデジタル領域に関するレポートに日本独自の動向と見解を加えて解説した「Tech Trends 2020日本版」を発行した。

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 グローバル版では11回目、日本版では6回目の発行となる本レポート。2020年版では、ヒトとデジタル技術の共存に関わる論点として、エシックスという倫理観に関わるトピックや、Human Experienceのトピック等について考察している。テクノロジーの進化によって人間の仕事が奪われるなど、脅威と捉われがちなデジタル技術。しかし、AIをはじめとする技術は人間の仕事を奪うものではなく、人を助け新たな付加価値を加えるものだという。これまで不可能だった新たな仕事を生み出し、ヒトの可能性を拡大する役割を担うデジタル技術とヒトをより融合し、人間中心の観点でどう共存していくのか、そのために必要な倫理観や信頼がどういったものか、本レポートで考察し、トピック別で解説している。

Tech Trends 2020 日本版が取り上げる7つのテーマに関するサマリーと日本のコンサルタントの視点

1:マクロテクノロジーフォースの実力/過去、現在、未来におけるイノベーションの主軸を再考する

 過去10年にわたって、デロイトはデジタルエクスペリエンス、アナリティクス、クラウド、デジタルリアリティ(DR)、コグニティブ、ブロックチェーン、ビジネステクノロジー、リスク、コアモダナイゼーションといった領域における新たなテクノロジーの誕生と発展の経緯をつぶさに観察。「Tech Trends 2020」では、これらのマクロテクノロジーフォースの企業における導入状況や、今後1年半から2年の間にビジネスに創造的破壊をもたらすと予測されるテクノロジートレンドについて考察している。テクノロジーを最大限に活用して高い効用を得る手立てとして、どのような新たなテクノロジーやIT部門の管理手法があるのか、どうすればテクノロジーを複合的に駆使してさらに高い価値を生み出すことができるのか、多くの企業が模索している。アンビエントエクスペリエンス、飛躍的に進化するAI、量子コンピューティングといった時代の先を行く新興テクノロジーの力を自社に取り込むためにも、まずはマクロテクノロジーフォースを使いこなし、これらを管理することが重要な第一歩となるとしている。

2:エシカルテクノロジーと企業価値/コアバリューをテクノロジー、ヒト、プロセスへ展開せよ

 先進企業は、テクノロジーの創造的破壊による自社へのあらゆる影響について認識し始め、社会的信頼を得る機会、逆に失うリスクの相反する両面についての理解が進んでいる。こうした企業では、コンプライアンスや広報活動の一部にとどまらず、ビジネス上優先すべき重要目標として、信頼に取り組んでいる。ここでは、自組織におけるテクノロジー、プロセス、および従業員が関わるあらゆる側面で一貫性が保たれ、多くのステークホルダーから期待される高いレベルの信頼を維持し、保証するための360度の取組みを意味する。ビジネスリーダーは、データの管理、パートナーエコシステムの構築、従業員のトレーニングなどを通じて、自社の製品やサービスの提供、そして意思決定がいかに対外的な信頼につながるのか再評価している。CIOは倫理性をクリアしている「エシカルテクノロジー」に着目し、ディスラプティブテクノロジー(破壊的技術)をどう使うか判断する際に倫理上のジレンマを認識するサポートツール群を準備している。自社の価値観やエシカルテクノロジーを組織全体に根付かせることができるリーダーは、ステークホルダーとの長期的な信頼関係を築くことができる「良き行い」にコミットしている。

3:ファイナンスと未来のIT/アジャイルの速度でイノベーションに資金を配分する

 テクノロジー戦略が企業のビジネス戦略の中枢を担う比重が高まると同時に、より高い成果を出すことが求められるようになった。そのためには、IT 部門および財務部門のリーダーがもっと互いに協力し、柔軟な手法でイノベーションに取り組み、アジャイル感覚のスピードで通常業務を運用していくことが期待されている。イノベーションをサポートする、破壊的影響から自社を防御する、もしくはデジタル変革を実行に移すといった名目で、IT 部門がテクノロジーイノベーションのガバナンス問題を効果的に再考するほか、アジャイル手法に適応し、そして創造的資本を確保するためにも財務部門のサポートが欠かせない。イノベーションを支える新たな財務・予算・会計プロセスへの移行作業は、一夜にして成せるものではない。しかし、CIOとCFOの両者には、効果的なイノベーション資金の調達方法を見つけたいという共通の確固とした動機がある。既にこうした潮流に乗り、可能な選択肢について模索している企業もある。時代の最先端にいる企業として、財務部門がアジャイルな速度でイノベーション資金を融通できるようになれば、競争上の優位性を最初に享受することになるだろう。

4:デジタルツイン/物理世界をデジタル空間に橋渡しする

 仮想モデルを使用してプロセス、製品、またはサービスを最適化するという考え方は、まったく新しいものではない。とはいえ、最近ではシミュレーションやモデリングが高精度化され、電力状況が可視化でき、相互運用性も向上したほか、IoTセンサー、広範囲で利用可能なプラットフォームやツールが登場するなど、従来のレベルを超えた詳細で動的なシミュレーションを実行できるようになった。デジタルツインは製造効率を高め、サプライチェーンを最適化できるほか、予兆保守作業の変革や交通渋滞の改善など、ほかにも多くのことを支援できる。製品単体の販売から、製品・サービスのバンドル販売へ、または「サービス化」へ舵を切る企業では、デジタルツインの利用を加速している。機能が高度化し、より洗練されるとともに、プロセスの最適化、データに基づくリアルタイムの意思決定、さらに新製品・サービスやビジネスモデルの設計といった用途でデジタルツインはさらに普及することが期待される。デジタルツインのさらなる可能性を追求するためには、長期的にエコシステム全体におけるシステムやデータを統合する必要が出てくるであろう。

5:ヒューマンエクスペリエンスプラットフォーム/アフェクティブコンピューティングは、エンゲージメントのルールを変える

 「アフェクティブコンピューティング」または「感情AI」と呼ばれる発展中のAIソリューションが、我々のテクノロジーの体験の仕方を再定義しつつある。今後数カ月のうちに、人間をより良く理解し、より適切に対応するために、まだ不完全であるが、増大傾向にある新たなテクノロジーの需要に多くの企業が対応していくことになるだろう。歴史的にコンピュータは出来事を人間の感情や感情的要因と関連付けることができなかった。しかし、イノベーターたちがテクノロジーの知能指数(IQ)に感情指数(EQ)を付加することに成功し、かつての制約は薄れつつある。AI、人間中心デザイン、そして神経学の研究分野で現在用いられている技術を組み合わせて人間のニーズを深く理解することで、ヒューマンエクスペリエンスプラットフォームはユーザの感情とその背景にある文脈を認識し、適切に対応できるようになるだろう。実際、大規模な範囲で感情データを認識し、インテリジェントプラットフォームを駆使して感情を解析する能力は、今後の企業活動において最も重要かつ大きなビジネスチャンスをもたらす源泉の一つに数えられる。

6:アーキテクチャの覚醒/さあ、目覚めよう

 テクノロジーアーキテクチャの科学が、これまで以上に戦略的重要性が高いものであると認識しているテクノロジーリーダーや経営層が増えている。実際、イノベーションが創造的破壊をもたらしている市場で競争力を維持するためには、従来型の組織はアーキテクチャのアプローチを進化させる必要がある。まず、テクノロジーアーキテクトの役割を変革することが最初のプロセスとなる。今後数カ月のうちに、アーキテクトの活動場所を従来の研究棟から現場へ移行させる企業が増えるであろう。有能なアーキテクトは、サービスやシステム開発に対してより大きな責任を持ち、システム運用にも関わることになるだろう。目的は単純で、経験豊富なアーキテクトを最も必要とされる場所、つまり複雑なテクノロジーを設計するソフトウエア開発チームにシフトさせることにある。アーキテクトやアーキテクチャに投資し、その戦略的価値を全社的に推進することで、自社のIT機能をデジタル経済市場における競争上の差別化要因に進化させることができる。

7:水平線の向こうへ/今後の展望

 企業の関心は、「最新のトレンドは何か」から「次に来る波は何か」という視点に移っている。当然のことではあるが、最新事情を理解することで早期の計画が可能になり、将来の収益源の芽を刈り取る関係性を先んじて作り出すことができる。先進企業は、長期的なテクノロジーの展望を見据え、ビジネス戦略と同期をとりながら、規則性や効果測定が組み込まれたイノベーションプログラムを実施してきた。こうした企業は、将来のマクロテクノロジーフォース(アンビエントエクスペリエンス、飛躍的に進化するAI、量子コンピューティングなど)をまず感知して識別し、調査や実験を経て、一定規模に育てるためのプログラムアプローチを採用し、テクノロジー、マーケットおよび業務アプリケーションの成熟度が社内全体にスケールする段階に適したレベルに達するのを待たずに先行して準備している。どの企業も、創造的破壊の波に飲み込まれて手後れになる前に、既知のナレッジを拠り所に自組織の在り方を再考し、変革に向けた検討をすべきである。未知が無限に広がって見える世界では、既知のテクノロジー群に焦点をあてることが意味を成し、次なる地平線への道筋を示すのに役立つであろう。

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BizZine編集部(ビズジンヘンシュウブ)

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