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実践企業に聞くサーキュラーエコノミー

農業起業家・ビジネスデザイナーの菊池紳さんが語る、全産業で「循環」を意識すべき理由

ゲスト:いきもの株式会社 代表取締役 菊池紳氏【前編】

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 今回のゲストは、いきもの株式会社代表取締役で、数々のビジネスを創業、支援しているインキュベーターでもあり、ビジネスデザイナー(仕組みの設計者)の菊池 紳氏。菊池氏は農業に関わる中で、全産業に共通する循環型経済の重要性に気づいたという。  コロナ禍での経済の混乱によって持続可能な事業戦略と組織づくりの重要性が増す中、掛け声はかけるものの取り組みが表面的なものにとどまり、本質的な取り組みにつながらない企業も多い。それはなぜか、どのように考えていけば良いのだろうか。経営には「EI(エコロジカル・インテリジェンス)」が必要だと語る菊池氏と、ホストの株式会社fog代表の大山 貴子氏が、農業をメタファーとして議論した。その内容を前後編に分けて紹介する。今回はその前編である。

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「経営には資源循環的な観点が必要だ」と考え始めた原体験

大山貴子氏(株式会社fog代表、以下敬称略):サステナビリティやサーキュラーエコノミーを意識し、それを発信する企業が増えてきていますね。ただ、本当に持続可能性を重視するならバリューチェーン全体を考えなければいけないものなのに、顧客に見える部分だけを取り繕っているだけのように見える企業が多い気がして、危機感を持っています。そこで菊池さんに出演をお願いした次第です。

菊池紳氏(いきもの株式会社代表、以下敬称略):「なぜ持続可能でなければいけないか」という問いを誰も投げかけず、サステナビリティという言葉だけが一人歩きしてしまっている状態だから、表面的な取り組みになってしまうのでしょう。そういう状態だと、盲目的に「サステナビリティ」と謳っていれば受けが良いと思ってしまう人と、どうせ流行り言葉だから無視しようとする人の2タイプの思考停止が増えてしまうんですよね。

 でも、資源循環的に物事を捉えて経営を考えることは、今どんな産業においても最も重要なことです。世界全体は経済成長していないですし、日本自体も経済成長を前提することから考え直す必要があります。

大山:菊池さんがその発想にたどり着いたのは、農業がきっかけだったんですよね。金融業界からキャリアをスタートしていると聞きましたが、農業にはどうして関わるようになったのでしょうか。

菊池:20代では投資銀行、コンサルティング、投資ファンド業界で仕事をしていたのですが、投資先にも大手の外食チェーンがあり、リーマンショックがあって外食産業が打撃を受けたり、食の安全性の問題で「国産回帰論」が高まったりする中で仕事をしていたので、食の流通構造には詳しくなりました。また、企業側と生産者側がうまくつながらず、企業側がほしがっているのに生産者側は売り先がなくて困っているという状況も見てきました。

 そんな中、母方の祖母から農業を継がないかと相談があったんです。まずは週末だけ試しに農業をやってみましたが、農業には言い尽くせぬ魅力がありますよ。生産者さんは農法を肴に夜通し酒を飲むほど、試行錯誤の余地があるクリエイティブな仕事です。一方で、農業の「仕組み」に大きな問題があることがわかってきたんです。

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