コンセント長谷川氏に聞く、サービスデザインと循環型ビジネスの相性──行動変容のための問いの再設計とは
株式会社コンセント代表取締役社長/武蔵野美術大学大学院造形構想学科 教授 長谷川 敦士氏【前編】
コロナ禍での経済の混乱も相まって、持続可能な事業戦略と組織づくりの重要性が増している。近年、事業戦略を考える際にサービスデザインの手法を取り入れる企業が増えているが、サービスデザイナーは今、何を考えているのだろうか。その答えを求めて、今回は株式会社コンセント代表取締役社長で武蔵野美術大学大学院造形構想学科教授でもある長谷川 敦士氏をゲストに迎えた。 サーキュラーエコノミーとサービスデザインの関係、サービスデザイン自体の進化、新しい価値を探るために有用なトリプルダイヤモンドプロセス、西洋型の人間中心デザインと受け身から主体モードへと生活者を変えるための方法、コロナ禍によるビジネスの変化など、長谷川氏とホストのfog大山 貴子氏が議論した内容を前後編に分けて紹介する。今回はその前編である。
サービスデザインとサーキュラーエコノミーの“相性”
大山 貴子氏(株式会社fog代表、以下敬称略):以前に長谷川さんはデザイン誌「AXIS」の連載「Business & Design」で、循環型ビジネスとサービスデザインについて書いていらっしゃいましたよね。対談の前提として、サービスデザインと循環型ビジネスの関係をお伺いしたいです。
長谷川 敦士氏(株式会社コンセント 代表取締役社長、以下敬称略):サービスデザインは顧客体験を基軸に、ビジネスの仕組み全体を捉え直すためのツールです。あらかじめ決めたサービスの枠内を最適化するのではなく、調達や顧客のタッチポイント、裏側のオペレーション等を含め、全体最適視点で見直すことを可能とします。そのため、ビジネスを循環型の仕組みにしたいときに使う思考ツールとして、サービスデザインが向いているんですよね。
それが大前提ではあるのですが、ちょうど昨年のサービスデザイングローバルカンファレンス(Service Design Global Conference 2019)で、サービスデザイナーは気候変動に向き合うべきだという提言がありました。というのは、サービスデザイナーのスキルやサービスデザインのプロセスが、以下の点でサーキュラーエコノミーに向いているからです。
- システム思考:システムのレベルで思考し、デザインする術を持っている
- 参加型デザイン:公平性(equity)を担保しながらスケールさせる術を持っている
- 行動変容:(ある集団の)ふるまいの変容や文化の変革を促す術を持っている
- 未来志向:目指すべき未来のために、ビジュアライズやプロトタイプする術を持っている
上記は、サーキュラーエコノミーを前提にしていなくてもサービスデザインでは行っていることなのですが、サービスデザインをツールとして使うと、サーキュラーエコノミーにさらに向かっていきやすいんです。
大山:だからデザインコンサル企業のIDEOなどが、サーキュラーエコノミーを推進する英国エレン・マッカーサー財団と、The Circular Design Guideを刊行したのですね。
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