Biz/Zineニュース

資生堂、「オルタナティブオートファジー」を世界で初めて化粧品分野に応用

 資生堂は、東京医科歯科大学との共同研究により、生体に備わる細胞の特別な応答機構「オルタナティブオートファジー」を世界で初めて化粧品分野に応用し、皮膚の細胞を内側から健やかな状態に整えて良好な細胞活動をサポートする新しいアプローチを見出した。また、カメリア種子抽出液にオルタナティブオートファジーの発動を促進する作用があることも発見した。

[公開日]

[著] BizZine編集部

[タグ] 企業戦略 研究開発 オルタナティブオートファジー

  • ブックマーク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 本研究成果の一部は「Cell Symposia-Multifaceted Mitochondria」(2020/11・スペイン)で発表予定。「オルタナティブオートファジー(Alternative autophagy)」とは、通常のオートファジーと異なり、細胞に過度なダメージが加わった時に発生する新たに発見された特別な応答機構で、細胞がダメージに負けず健やかに活動するために重要な役割を担っているとして注目されている。

細胞のエネルギー供給を担うミトコンドリア

 人間の皮膚は、バリア機能を担う表皮細胞やコラーゲンなどを産生する線維芽細胞などから構成されており、細胞が正常に活動することは健やかで美しい肌に重要となる。加齢や紫外線などのダメージにより細胞の活動力が低下すると、皮膚の構造が乱れ、肌荒れやシワ、たるみなどの発生に繋がる。資生堂では、今回、細胞のエネルギー産生を担い、細胞の活動力の源となるミトコンドリアに着目して研究を進めたのだという。

 ミトコンドリアは細胞内に存在する器官で、細胞が活動するために必要なエネルギー(ATP)を産生している。1つの細胞には300-400個のミトコンドリアが存在し、絶えず分裂や融合を繰り返し、生体活動におけるバランスを保っている。しかし、加齢や紫外線などによりミトコンドリアがダメージを受けると、ATP産生能が低下し、生体に悪影響を及ぼす活性酸素(ROS)を排出することがわかっている。

オルタナティブオートファジー

ミトコンドリアなど細胞内小器官の再構築に重要なオートファジー

 生体には、細胞がミトコンドリアなどの細胞内小器官を自ら分解・処理するオートファジー(自食作用)という機構が存在している。オートファジーとは、「自ら(Auto)」を「食べる(Phagy)」という意味を持ち、1963年にクリスチャン・ド・デューブ博士(1974年ノーベル生理学・医学賞受賞)が提唱し、1992年に大隅良典博士がその仕組みを解明した。オートファジーは新陳代謝に貢献する細胞内浄化やストレス応答などにおいて重要な役割を果たしており、細胞内組織の再構築を促している。オートファジーは日常的に行われており、例えば、機能が低下したミトコンドリアはこの機構により自ら再構築して機能を取り戻している。

オルタナティブオートファジー

新たに発見された特別な応答機構 オルタナティブオートファジー

 近年、日常的に行われている細胞内組織の再構築を行う通常のオートファジーとは異なり、紫外線ダメージによりDNAが損傷するなど、細胞が過度なダメージを受けたときに発生する特別な応答機構が東京医科歯科大学の清水重臣教授によって発見された。これまで知られていたオートファジーとは全く異なるメカニズムで発生するこの機構をオルタナティブオートファジーといい、通常のダメージやストレスでは対応できないトラブルにも機能して細胞内組織の再構築を促す、特別な応答機構として注目を集めている。

 資生堂は、東京医科歯科大学との共同研究により、この新しい機構を世界で初めて化粧品分野へ応用することに成功。また、皮膚の細胞において、カメリア種子抽出液がオルタナティブオートファジーの発動を促進する作用があることを発見した。これはつまり、カメリア種子抽出液により皮膚の細胞が内側から健やかになり本来の力を取り戻すことで、生命感にあふれる美しい肌へ導く可能性を示しているのだという。

オルタナティブオートファジー